2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K16911
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
栗田 卓 久留米大学, 医学部, 助教 (20569355)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 喉頭乳頭腫 / 腫瘍局所微小環境 / 細胞障害性T細胞 / 免疫チェックポイント関連分子 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
喉頭乳頭腫症例のホルマリン固定パラフィン包埋標本を用い、免疫チェックポイント分子関連分子であるPD-L1と、制御性T細胞マーカーであるFoxp3の免疫組織化学染色を行った。PD-L1に関しては乳頭腫組織内における染色強度と陽性割合をそれぞれスコア化し、合計スコアを算出した。Foxp3に関しては前年度に行ったCD8, PD-1の免疫組織化学染色に関する解析と同様に、染色した標本における陽性細胞数を上皮内すなわち腫瘍内と、上皮下すなわち腫瘍直下にわけてそれぞれ計測した。 前年度までに行った研究でCD8陽性細胞数とPD-1の陽性細胞数はいずれも非再発群の方が多いという結果が得られていた。今回行った研究では、PD-L1の染色結果に関しては有意差を認めなかったが、Foxp3陽性細胞数は上皮内と上皮下のいずれにおいても非再発群で有意に高かった。これらの結果について、まずCD8陽性細胞は非再発群の方が有意と多いという結果から、再発群の方が細胞障害性T細胞の数が少ないために、免疫系を介した腫瘍細胞の排除が生じづらいことを意味すると考えられた。また、PD-1とFoxp3の陽性細胞数は非再発群の方が有意に多いという結果から、非再発群では細胞障害性T細胞の働きが免疫チェックポイント関連分子や制御性T細胞によって抑制されている可能性があることを意味すると考えられた。以上より、非再発群における乳頭腫の発生においては、腫瘍局所での免疫に抑制的な因子によって細胞障害性T細胞の働きが抑制されることが乳頭腫一因となっていることが示唆された。また、再発群における乳頭腫の再発においては、腫瘍局所への細胞障害性T細胞の浸潤が少ないことが再発の一因であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、日常の臨床業務等に割く必要のある時間が当初よりも増えたため、研究活動に割くことのできる時間が減った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究内容に関する英文論文投稿の準備中である。投稿に際しての英文校正が必要である。また、論文の査読段階で、必要に応じて追加の解析・実験を要する可能性がある。
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Causes of Carryover |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施や学会参加、論文投稿など)
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