2020 Fiscal Year Research-status Report
耳石に対する骨代謝の影響ー良性発作性頭位めまい症の新たな診断・分類法の開発
Project/Area Number |
18K16914
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
中田 隆文 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 外来研究員 (00804048)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 良性発作性頭位めまい症 / 半規管結石症 / クプラ結石症 / BPPV / 内リンパ水腫 / メニエール病 / 骨粗鬆症 / ビタミンD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主要なめまい疾患である良性発作性頭位めまい症(BPPV)発症への骨代謝異常の影響を明らかにすることで、BPPVと他のめまい疾患の鑑別方法の開発や、予防法の確立を目指すものである。 骨折発生危険度を評価するアルゴリズムであるFRAX(http://www.shef.ac.uk/FRAX)を用い、BPPV患者群では骨折発生危険度が有意に高いことを明らかにした。耳鼻咽喉科学会中部地方連合会、日本めまい平衡医学会で発表し、Auaris Nasus Larynxへ論文を掲載した。続いて、外側半規管型BPPVにおける半規管結石症とクプラ結石症の間でビタミンD濃度が有意に異なることを明らかにした。これは両者の病態差が骨代謝障害の程度の差であるこ とを示唆する重要な知見である。日本めまい平衡医学会で発表し、Frontiers in Neurologyに論文を掲載した。 BPPVを含むめまい症の発症の要因を多面的に検討するため、地域住民コホート研究に参加した。これによりめまい発症と関連する因子として女性、難聴、頭痛、 貧血が挙げられ、日本めまい平衡医学会で発表し、Equilibrium Researchへ論文を掲載した。 高齢者ではBPPVを含むめまい発作後に慢性めまいへ移行することが散見される。これらの患者に症状、前庭機能の改善を試みるリハビリでの介入を行い、その成果を日本めまい平衡医学会で発表し、Equilibrium Researchへ論文を掲載した。 BPPV発症に関与する耳石は主に卵形嚢由来であると考えられており、この卵形嚢からの耳石の脱落に内リンパ水腫が関与することが示唆されている。BPPVと 内リンパ水腫との関連性について検討するにあたりMRIを用いて内リンパ水腫を評価する中で、メニエール病発作中に内リンパ水腫の画像を撮影することでメニエール病の病態解明に重要な知見を得ることができたため、Nagoya Journal of Medical Scienceへ論文を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
良性発作性頭位めまい症と骨代謝障害との関連について新たな知見を得ることができ報告することができた。2020年はコロナ禍の影響で計画していた症例が蓄積できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
めまい患者の骨代謝に関するデータを収集している最中である。今後データを解析し、論文を作成したい。また新型コロナ感染症のパンデミックが良性発作性頭位めまい症を含むめまい疾患に与える影響について、データを解析し論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの世界的な流行により参加を予定していた海外での学会が延期となったため、それにかかる参加費、旅費が支出できなかった。 また同ウイルスの流行による通院、受診者への影響によりデータの収集が予定より遅れたため、当初予定していた論文の英文校正費や投稿費が支出できなかった。 次年度では現在あるデータを用いて論文の投稿、学会での発表を行う予定である。
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Research Products
(4 results)