2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of optimized therapy for disease-specific genes of intraocular malignant lymphoma
Project/Area Number |
18K16918
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田岡 和城 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30529178)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 眼内リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼内悪性リンパ腫や中枢悪性リンパ腫は、難治性の希少疾患であり診断や治療法の開発が進んでいないアンメットニーズの疾患である。これまで眼内悪性リンパ腫の診断は、組織生検が必須であり、また生検をしても採取検体量の問題から診断を確定することが困難である。また、中枢悪性リンパ腫は、脳を生検しなければならず、侵襲度が高く術後の障害をきたすこともある。我々は、これらの問題を解決するために、眼内や髄液から採取された微量な検体からDNAを増幅させて、遺伝子補助診断を行うことを目的とする。これは、低侵襲な手技で補助診断やコンパニオン診断が可能となることを目標とする。 我々は、眼内悪性リンパ腫の原因遺伝子を、多施設共同研究(「眼内悪性リンパ腫の体細胞変異のエクソーム解析の研究」(科研費:基盤C、若手研究 田岡)で、眼内悪性リンパ腫の遺伝子解析を行った。眼内悪性リンパ腫は主に4つの特異的な遺伝子(MYD88,X,Y、Z)で94%(46例/49例)は網羅されることが分かりました。このことから、4つの遺伝子(MYD88,X,Y、Z)で遺伝子の補助診断が可能と考えらえる。微量な検体から遺伝子を同定するため、さらに4つの遺伝子プライマーを同時に増幅させる系を確立することで、微量な検体をデジタルPCRの技術を用いて検出することが可能となった。この技術は特許出願をしており米国特許出願及びPCT特許出願を行っている(米国特許62/785732)。 また、髄液や骨髄においても、同じ検出系を用いて、微量なDNAや、腫瘍割合が少ない検体でも特異的な遺伝子を検出することができるようになっている。眼内悪性リンパ腫の遺伝子による予後解析を行ったところCD79Bの遺伝子変異があると、再発が高率であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微量な検体から遺伝子を同定するため、さらに4つの遺伝子プライマーを同時に増幅させる系を確立することで、微量な検体をデジタルPCRの技術を用いて検出することが可能となった。この技術は特許出願をしており米国特許出願及びPCT特許出願を行った(米国出願番号 62/785732、発明の名称:The diagnostic method for vitreous lymphoma、出願日:2018年12月28日で特許出願済みである。国際出願 TPC0302UVT 51902753779 令 1.12.27 PCT/JP2019/ 51482 遺伝子の同定及び検出は、サンガーシークエンス、全ゲノムシークエンス、エクソームシークエンスがあるが、いずれもある程度のDNA量が必要である。眼内悪性リンパ腫の眼内検体や髄液の検体では10pg程度であり、通常のDNA検査では遺伝子の同定ができなかった。我々は、その困難さを克服した検査系を確立した。この方法を用いれば、これまで眼内生検、脳生検を行っていた検査を、眼房水や髄液といった非侵襲的な検査で代用することが可能であり、侵襲度という点で非常に患者へのメリットが大きい。
|
Strategy for Future Research Activity |
【コンパニオン診断キットの開発】 眼内悪性リンパ腫に対するブルトンキナーゼ阻害剤を用いた中枢再発予防法による医師主導多施設共同治験において、疾患の遺伝子の違いによる治療効果の再発への影響を検証する。この結果により、眼内悪性リンパ腫に対するコンパニオン診断キットを開発する。現在、疾患特異的変異検索が終了、臨床検体の検証が終了した。今後、製品仕様を決定し、臨床性能試験を多施設で準備している。 【想定する効果】眼や脳を生検する代わりに、侵襲度の少ない眼内液(前房水)や髄液を採取し診断することができる。侵襲度が非常に少なくなり、患者へのメリットが大きい。更に疾患特異的遺伝子の遺伝子変異は、共にブルトンキナーゼ系を活性化させるカスケイドであることがわかり、疾患特異的遺伝子標的治療になりえる。遺伝子診断を行うことで、治療効果の予測や遺伝子標的治療の個別医療になる。
|