2018 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of NMNAT1 in human iPS cell-derived retinal organoids development
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18K16919
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗林 寛 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (00734211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | NMNAT1 / 遺伝性網膜変性疾患 / 神経変性 / NAD / 網膜オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は遺伝性網膜変性疾患・レーバー先天性黒内障(LCA)の原因遺伝子であるNMNAT1の機能不全が変性をもたらすメカニズムを、ヒト網膜オルガノイド形成を通して明らかにする事を目的としている。本年度は以下の研究成果を挙げた。 【1】CRISPR/Cas9を用いたNMNAT1ノックアウトiPS細胞の樹立 当初の研究実施計画に基づきCRISPR/dCas9KRABによるDox誘導性NMNAT1ノックダウンiPS細胞の樹立を試みた。NMNAT1転写開始点をターゲットとしたgRNA/dCas9KRAB発現プラスミドを作製したが、十分なノックダウン効率を有する細胞を得られなかった。この結果を踏まえ、CRISPR/Cas9によるNMNAT1ノックアウトiPS細胞の樹立を行った。gRNA/Cas9/EGFP発現プラスミドを作製、導入後、EGFP陽性細胞を回収し、genomicPCR、RT-PCRによる解析の結果、NMNAT1のノックアウトを確認した。 【2】網膜細胞種毎の細胞内NADレベルの測定 NMNAT1機能不全が細胞内NADレベルに与える影響を明らかにするために、マウス網膜を用いNmnat1発現阻害時のNADレベルの比較研究を進めた。当初予定していたHPLCによる解析ではなく、細胞内コンパートメント(細胞核、細胞質、ミトコンドリア)毎にNADレベルを捉える事のできるNADセンサー発現プラスミドを入手し、FACS、イメージングによる解析を進めた。Nmnat1発現阻害により生じる網膜細胞死に先立ち、細胞核内特異的にNADレベルが低下している事を見出した。また、CD73抗体により網膜細胞を視細胞系列、非視細胞系列に分離して解析を行なった結果、非視細胞系列と比較し視細胞系列では細胞核内NADレベルが低いことが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、“網膜オルガノイド誘導に用いるNMNAT1ノックアウトiPS細胞の樹立”および“網膜細胞内種毎の細胞内NADレベルの測定”を中心に研究を進めた。NADレベルに関する研究では、細胞内コンパートメント毎のNADレベルがNmnat1発現抑制時にどのように変動をするのかを捉える事ができた。一方、iPS細胞樹立においては、研究開始当初、研究実施計画に基づき、NMNAT1転写開始点をターゲットとしたgRNA/dCas9KRAB発現プラスミドを作製し、ノックダウンiPS細胞の作製を試みた。しかし、十分にノックダウンできる細胞を得られなかった。そこで、研究計画を変更し、NMNAT1ノックアウトiPS細胞の樹立を行なった。このため、やや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、NMNAT1ノックアウトiPSC細胞株のクローニングを進めている。今後はホモ接合型NMNAT1ノックアウトiPSC細胞を得て、網膜オルガノイドへの誘導実験を行う。網膜形成過程において、複数のタイムポイントで組織学的解析による細胞死や細胞分化の評価を行う。また、遺伝子発現変動やヒストンアセチル化レベルに着目し、ゲノムワイドに解析を進める事で、変性を引き起こす新規因子の探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は研究の進捗状況がやや遅れ、予定していた実験を行うことができず、次年度使用額が生じた。この結果を踏まえ、平成30年度に行えなかった研究と併せて、研究実施計画に記載した平成31年度分の研究を進めていく予定である。
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