2019 Fiscal Year Research-status Report
小児網膜疾患における網膜形態異常に対する多角的解析
Project/Area Number |
18K16922
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野々部 典枝 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40732649)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 未熟児網膜症 / OCTアンギオグラフィー / コーツ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は小児の網膜血管疾患であるコーツ病の児に対して、11例11眼のswept source optical coherence tomography(SS-OCT)を撮影し、これまでの検眼鏡検査では不明であった網膜層別の所見について明らかにすることができた。コーツ病では、視力を規定する中心窩に血管からの滲出物が貯留し、それよりも深層の網膜については詳細な状態は滲出物に隠れて観察できなかったが、SS-OCTでは網膜深層の障害などが明瞭に観察可能で、滲出改善後の視力予後について予測できるのではないかと考えられた。現在SS-OCTの所見と視力との関係性について検討中である。さらに、広角で撮影した蛍光眼底造影の画像とOCT Angigraphy (OCTA)で得られた画像を比較し、OCTAがコーツ病の経過観察において疾患活動性の有無を判断するための検査として活用できるかどうかの検証を行っているところである。OCTAが蛍光眼底撮影に代わることができれば、繰り返し撮影する必要があるコーツ病のような血管疾患に対して、造影不要で経過観察が可能となるため、特に小児においては有用と考えている。 昨年度に主に行っていた未熟児網膜症のSS-OCT、OCTA撮影に関しては、これまでにSS-OCTとOCTAを撮影した児の経過を引き続き経時的に撮影し、初回撮影時の画像との変化を比較している。小児であるため視力が徐々に発育している途上であるが、SS-OCTの所見との視力の関係性について検討しているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未熟児網膜症については、初回撮影に成功した後も対象の児について経時的に繰り返しSS-OCTとOCTAの両者を撮影することができており、経過観察しながら所見と視力の比較ができていることから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。また、今年度は未熟児網膜症に加えてコーツ病の児についても症例数が増えてきており、所見の比較検討を行える状態となってきている。課題であった撮影時の眼球の位置のコントロールについても、撮影機器の角度の設定と撮影モードの工夫によりある程度コントロール可能な状況となってきており、撮影時の患児の負担についても撮影時間の短縮につながるなど軽減されていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
SS-OCT、OCTA撮影で得られた所見と視力についての関係性を明らかにしたいと考えているが、小児の視力検査は検査当日の児の状態(体調や気分)によって左右されることがあり、成人と違って評価が困難な場合がある。したがって、より客観的な指標で画像所見と網膜機能の関連性を明らかにできる指標が必要であると考えている。具体的には、網膜電図などについて検討している。現在網膜電図は非接触で検査できる機器や網膜の部位別に電位を測定できる機器があり、これを用いて評価できるか今後施行していく予定である。
|
Research Products
(3 results)