2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the mechanism of myopia suppression by specific wavelength, and environmental/epidemiological research
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18K16934
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鳥居 秀成 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 専任講師 (50445326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近視 / 眼軸長 / 光環境 / 新型コロナウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、これまで毎年実施してきた疫学調査の縦断的な研究成果を得ることができた。我々は以前、新型コロナウイルス(COVID-19)流行により学童期の眼軸長変化量が有意に大きくなり、それは屋外活動時間が減少し、近業時間が増加したことが影響した可能性を報告した。最終年度では、COVID-19流行下でも継続調査ができた都内1小学校の縦断研究成果をまとめた。非調節麻痺下他覚屈折値(等価球面値)、眼軸長を2018~2021年まで測定し、ライフスタイルに関するアンケート調査も実施した。2018~2019(COVID-19流行前:483例)、2019~2020(COVID-19流行直後:379例)、2020~2021年(COVID-19流行中:369例)の、それぞれ1年毎の変化量と各年のライフスタイルを比較した。それぞれの平均非調節麻痺下他覚屈折値、眼軸長変化量は、-0.25/-0.25/-0.44D (P=0.021)、0.31/0.39/0.31mm (P=0.019)で、1日あたりの屋外活動時間、スマホ・タブレット端末視聴時間は73.9/62.1/78.2分 (P<0.001)、36.9/47.7/58.9分 (P<0.001)だった。COVID-19流行後、流行直後には認めなかった屈折の近視化が1年経って顕現したことが明らかになった。 さらに、特定波長可視光線(バイオレットライト:360 nm~400 nm)が近視進行抑制効果を発揮するメカニズムについては我々のグループのJiangら(Jiang X et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2021)が報告し、網膜特異的にOpn5(網膜神経節細胞に発現する非視覚光受容体、バイオレットライト領域内の380nmを最大吸収波長)遺伝子を欠損させた遺伝子改変動物(OPN5ノックアウトマウス)を用いた研究を実施し、バイオレットライトの作用機序としてOPN5が関与し、脈絡膜厚を保持して眼軸長伸長を抑制していることを示した。
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