2018 Fiscal Year Research-status Report
水素投与によるマウス未熟児網膜症の改善効果および血管内皮前駆細胞の動態の検討
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18K16937
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中川 喜博 東海大学, 医学部, 講師 (20459465)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨髄由来EPC動員の活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回、マウスの未熟児網膜症(Retinopathy of prematurity=ROP)モデルにおいて、水素投与による血管内皮前駆細胞(Endothelial progenitor cell=EPC)の分化動態を知ることが研究目的の一つの大きな柱である。これまで水素によるEPCの分化動態へのついては既報がなく、まずは疾患モデル以外でその分化動態を検討した。 <材料と方法>生後8週以上の成熟マウス(C57BL6)を対象とした。水素水は水素水作成キットを用いて生成し、その都度濃度を測定して1.0ppm以上であったものを用意した。 水素投与群は、飲水に使用する水を水素水にし、対照群としては生成して24時間以上室温放置した脱水素水を用いて飼育を開始した。水素水は毎日生成したものに交換した。 投与開始1週間後と2週間後に、各マウスより末梢血を採取し、溶血処理後に単核球を採取した。単核球を我々研究室が開発したEPC分化動態解析法を用いて検討した(500000個/ dish)。1週間後、顕微鏡下で目視しながら、形成された未分化型EPCコロニーと分化型EPCコロニー数を計測し、統計学的に解析した。 <結果>1週間後のコロニー数は、未分化型、分化型及びその合計に、有意な差は認めなかった。2週間後では、水素投与群において、有意に分化型コロニー数および合計コロニー数の増加がみられた(P<0.01, 対象群:4.19±2.32 SE、水素投与群:16.93±3.64 SE)、(P=0.02, 対象群:14.82±6.33 SE、水素投与群:36.99±6.79 SE)。 <意義・重要性>水素水によりEPCの分化が促進されること、また骨髄から末梢血中へのEPCの動員が促進されることが示唆され、未熟児網膜症のような局所血管障害の修復や改善効果に期待できる基盤となる結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究補助員確保が困難であったため疾患モデルの作製および管理、その後の実験に支障がでたため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果を元に、実際のROPモデルにおいて、同様に水素投与群と対照群で、EPCの分化段階に差異があるのか検討を開始したい。 ヒトへの臨床応用を想定すると、水素の投与方法として全身ではなく局所の方が利用しやすいと考え、マウスの眼局所への水素水投与方法の確立を目指す(投与量や投与部位、間隔)。
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Causes of Carryover |
研究補助員確保が困難であったため疾患モデルの作製および管理、またその後の実験に支障がでたため。 次年度は確保の見込みがたち、研究を促進させることが可能と思われる(2019年度請求分+繰越金)。
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