2020 Fiscal Year Research-status Report
水素投与によるマウス未熟児網膜症の改善効果および血管内皮前駆細胞の動態の検討
Project/Area Number |
18K16937
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中川 喜博 東海大学, 医学部, 講師 (20459465)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 水素水 / 網膜血管新生病 / 血管内皮全区細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
未熟児網膜症のマウスモデルは厳格にマウスの生後日数の把握、それに合わせた処置が必要であるが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、そのモデル作成に支障が生じていた。 未熟児網膜症は網膜血管新生病の一つであるが、その他の代表例に糖尿病網膜症がある。今期、2型糖尿病モデルに相当する high-fat diet-induced obesity (以下DIO) マウスを用いて、血管内皮前駆細胞(以下EPC)の動態に関する研究を主に行った。 生後から4週間、高カロリー食を続けた C57BL6/Jマウス、すなわちDIOマウスが高血糖であることを確認し、高濃度水素水の飲水を2週間続けた。対象群にはガスを除いた水を使用した。2週間後、マウスの末梢血および骨髄を採取。末梢血から単核球、骨髄から KSL (lineage-/c-Kit+/Sca-1+)細胞を抽出し、EPC の分化動態を把握する コロニーアッセイを行った。その結果、末梢血および骨髄細胞において、EPC-CFU (colony forming unit)は、未分化型および分化型ともに有意に水素水飲水群で増幅していた(末梢血 p<0.05, 骨髄 p<0.05)。また、骨髄細胞(KSL細胞)のアッセイにおいて分化型EPC-CFUの占める割合は、対照群に比べ水素水飲水群で有意に増加し、逆に未分化型EPC-CFUは有意に低下していた(分化型 p<0.05、未分化型 p<0.05)。これらの結果は、水素水飲水により、EPCが増殖し、かつ分化が進むことで骨髄から末梢血へEPCの動員が促進された可能性を示唆した。 以上、本研究の目的の1つである水素水のEPCの分化動態における影響について新たな見地を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍における行動制限により、研究補助員の確保が困難であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
水素水投与後の網膜血管の評価、EPC分化段階の評価が不十分であり、それらに関わる実験を研究代表者のエフォートの割合を増やし、最終年度として課題をクリアできるよう研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり研究に遅れが生じ、また、参加予定であった各学会も中止やオンラインとなったことで、使用額が減少した。 次年度は本研究の最終年度であり、本研究におけるエフォートの割合も大きくし、動物実験に関わる費用が主な使用先として課題の研究を進めていく。
|