2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病網膜症におけるヒストン脱メチル化酵素jmjd1aの検討
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18K16941
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
塩野 陽 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (20737598)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病網膜症に対するヒストン脱メチル化酵素であるjmjd1aの機能解析を行うために実験を行った。我々は糖尿病網膜症で生じる網膜血管新生におけるjmjd1aの影響を検討する実験を行った。まずはIn vitroの検討として、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いて実験を行った。血管新生における重要な分子としてHIF1α、VEGFが挙げられるが、それらの遺伝子発現に対するjmjd1aの影響を検討するために、jmjd1aをノックダウンした細胞を作成し実験を行った。低酸素負荷をかけた状態で培養したHUVECは、正常酸素下で培養したHUVECと比してVEGF、HIF1αの発現が上昇した。低酸素負荷で上昇するこれらの分子は、jmjd1aをノックダウンしても変化がなかった。このことから、jmjd1aが血管新生に関与している場合、VEGFやHIF1αの発現上昇を介さないメカニズムの可能性が示唆された。 また、我々はjmjd1aノックアウトマウスの高圧酸素モデルにおける血管新生に対する検討も行った。高圧酸素で飼育されたマウスは、網膜に異常な新生血管が生じるが、jmjd1aノックアウトマウスでもワイルドタイプマウスと同様に網膜新生血管が生じるか検討を行った。しかしながら、jmjd1aは性決定にかかわる分子でもあることから、予想以上にノックアウトマウスが産まれてこなかった。結果、ノックアウトマウスの個体数が、比較検討するには足りなかったため、再度実験を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
jmjd1aは性決定に関与する遺伝子であることから、どうしても性に偏りがでてきてしまい、ノックアウトマウスの個体の数がかぎられてしまう。 高圧酸素モデルは生まれて間もないマウスを使用して血管新生を検討するために、ジェノタイピングと実験を同時に行う必要があることから、予想以上に大量のマウスを使用する必要がある。 現在これらの問題を解決するための予備実験を行っていることから、やや進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧酸素モデルにおけるjmjd1aノックアウトマウスの表現型を確認する。 その後はHUVECを用いたinvitroの実験にて詳細なメカニズムの検討を行う。 具体的にはRNAシークエンスを行い、網羅的遺伝子解析を行う。
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Causes of Carryover |
実験の進行速度は良好で予定していた試薬を購入しないで済んだために残額が生じた。本年度に抗体購入で使用する予定である。
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Research Products
(20 results)