2018 Fiscal Year Research-status Report
エクソームシークエンスによる脂腺癌の発癌メカニズム解明
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18K16942
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋山 雅人 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (10757686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脂腺癌 / エクソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
眼科領域の悪性腫瘍のがんゲノム解析は、悪性黒色腫など一部の腫瘍を除いて報告が限られており、他の領域よりも遅れている。近年では、治療薬剤の選定においてもゲノム情報が活用されるようになってきており、眼科領域の悪性腫瘍においてもゲノム情報を蓄積し、活用方法を検討していくことは急務であると考えられる。そこで、本研究は、眼科領域で比較的頻度が高いとされる、眼瞼に発生する脂腺癌を対象に、全翻訳領域を対象としたエクソームシークエンスを行い、発癌の分子機構を明らかにすることを目標とした。 本年度は、外科的に切除した手術検体から研究用試料の採取、保管、DNA・RNA抽出、抽出したサンプルの品質評価について最適化を行った。8例の眼瞼脂腺癌患者から得られた末梢血由来DNA(8サンプル)と腫瘍由来DNA(原発巣由来:8サンプル、転移リンパ節由来1サンプル)について次世代シークエンサーによるエクソームシークエンスを実施した。血液由来DNAと腫瘍由来DNAについて、目標とするシークエンス深度をそれぞれx70とx300に設定し、眼瞼脂腺癌の体細胞変異検出における最適なシークエンス深度の検討を行った。また、シークエンスにより得られたゲノムデータについて、体細胞変異の検出を行った。さらに、過去に脂腺癌に関連すると報告されている遺伝子について変異を評価したところ、過去に欧米から報告された3つの遺伝子に半数以上の症例で体細胞変異を有していることが明らかとなり、日本人の眼瞼脂腺癌においても主要ながん関連遺伝子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたよりも収集できた検体数は少なかったが、手術検体の取扱やその後の実験と解析を遂行することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も検体収集とシークエンスを継続するとともに、変異シグネチャーの解析など次世代シークエンスで得られたデータのさらなる解析を行う。また、同定した変異情報を用いて患者臨床情報との関連について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも取得できた検体数が少なかったためであり、平成31年度のシークエンス費用として用いる予定である。過去に九州大学病院にて手術を受けた症例を対象として、パラフィン包埋切片から抽出したDNAの解析を行うことについても検討している。
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