2019 Fiscal Year Research-status Report
偏光感受型前眼部光干渉断層計を用いたシュレム管および集合管の形態的・質的評価
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18K16944
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上野 勇太 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90759317)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 偏光感受型前眼部光干渉断層計 / シュレム管・集合管の描出 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度内に設置した最新型の偏光感受型前眼部光干渉断層計を使用して、健常ボランティアを撮影し、複屈折断面データにおいてシュレム管周囲が低複屈折に描出されること、シュレム管外壁より外側の強膜が高複屈折に描出されることを確認した。また、強膜内には低複屈折の索状物が描出され、解剖学的な特徴から集合管と思われた。つまり、従来型での検査所見と同様の画像が得られ、シュレム管・集合管の描出能は従来型よりも優れていた。また緑内障患者に対し、線維柱帯切開術(トラベクロトミー)前後で撮影を行い、手術で開放されたシュレム管が術前には低複屈折で映っていた組織であることを確認した。さらに、摘出人眼を米国アイバンクから輸入し、同様の観察を行った。眼圧に応じてシュレム管と思しき構造物が形態変化を来たすことを確認した。本研究の目的である「シュレム管・集合管の形態的特徴の解明」について、最新型の偏光感受型前眼部光干渉断層計を用いることで健常眼および緑内障眼のシュレム管・集合管の同定が可能であると思われた。 従来型では手動で画像処理を行ってシュレム管・集合管を強調するように表示していたが、本装置ではそれを半自動化するアプリケーションを搭載するように開発中であり、こちらについては随時進行中である。今後も摘出人眼を使用してアプリケーションの微調整を行うとともに、摘出人眼に対して生体眼では遂行できない外科的処置や造影検査を追加して、最終的には病理組織学的所見との照合で「シュレム管・集合管の形態的・質的特徴の解明」を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
米国より摘出人眼を輸入して組織の観察を行うことが研究プロセスのメインであるが、これまで4回輸入を計画し、そのうち3回は輸入当日にキャンセルとなった。これは、米国からの組織の輸入が、角膜移植の診療目的を優先とされるためである。1回の輸入は成功し、無事に実験を完遂できた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、研究のメインプロセスである摘出人眼の輸入および組織観察への使用について、4回中3回は輸入当日にキャンセルとなって実験を遂行できなかった。今年度は予定通り実験を行うため、早期から輸入計画を立てる必要があるが、新型コロナウイルス感染症が蔓延していることもあり、輸入計画に支障が出る可能性がある。
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Causes of Carryover |
本研究にかかる費用の大部分は米国アイバンクからの摘出人眼の購入である。4回の購入計画のうち3回が直前でキャンセルとなってしまったため、2019年度の使用額は抑えられ、次年度使用額が生じた。装置の導入は完了しており、アプリケーション開発も進んでいるため、2020年度は再度摘出人眼の輸入計画を立てて撮影を想定している。
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