2019 Fiscal Year Annual Research Report
The roles of histone modifications in retinal degeneration
Project/Area Number |
18K16949
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩川 外史郎 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (30638648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 網膜変性 / ヒストン修飾 / Ezh2 / H3K27me3 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度ではEzh2ノックアウトマウス(Ezh2-cKO)でニトロソ尿素(MNU)による視細胞の変性が抑制される傾向が認められたが、個体間のばらつきが課題として残った。2019年度は、MNUの供給元が変わったため、投与量と、マウスの週齢、性別、解析時期に関して検討を行った。その結果、30mg/kgのMNUを7週齢のマウスに投与し5日後に解析を行うことで、Ezh2-cKOとコントロールの差が比較的明瞭となった。興味深いことに、MNUに対する反応性に対して性別差が認められ、オスの方がより変性が激しいことが分かった。過去の知見で視細胞変性を促すアルキル化剤であるメタンスルホン酸メチルもオスの方がネクロトーシスによる細胞死の頻度が高いことでより厳しい表現型を呈すことが示されている。MNUに関してもネクロトーシス関連遺伝子であるRipk3の発現がオスの方で高く、さらにオスのEzh2-cKOでは抑えられていることから視細胞変性時にH3K27me3はネクロトーシスに関与している可能性が考えられた。 当初の研究計画には含まれていなかったが、テトラスパニンファミリーの1つであるCd9の視細胞変性に対する寄与の解析から、視細胞変性時にCd9は視細胞で発現が著しく上昇し、保護的作用を有するEdn2の発現誘導に寄与することで変性を抑制する役割があることが示唆された。網膜発生期にEzh2をノックアウトしたマウス網膜でCd9の発現を解析したところ発現の上昇が認められたため、前述したEzh2-cKOにおける視細胞変性の抑制はCd9の発現上昇によってもたらされた可能性が示唆された。今後、Ezh2と視細胞変性に対して促進性あるいは抑制性に働く因子との関連からそのメカニズムが明らかとなり、網膜変性を抑える手立ての一助となることが期待される。
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Research Products
(1 results)