2020 Fiscal Year Research-status Report
三叉神経再生を視野に入れた神経麻痺性角膜症の新規治療戦略
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18K16963
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 才一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60316106)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 角膜 / 三叉神経 / 創傷治癒 / ソニック・ヘッジホッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
Krt12-Cre遺伝子をノックインしたマウス(シンシナチ大学眼科から供与)とShhf/fマウスを交配し、Krt12Cre/wt/Shhf/f(ShhΔCE)マウスを作出した。皮膚科トレパンとマイクロサージカルナイフを用いて8週齢のShhΔCE及びShhf/wt(Krt12wt/wt/Shhf/wt,コントロール)マウスの右眼角膜中央部に直径2 mmの円形角膜上皮欠損を作成した。上皮剥離6,12,18,24,36時間後に創傷治癒及び細胞増殖の検討を行った。創傷治癒は角膜上皮欠損創の残存部面積をImgae Jソフトウェアを用いて測定して評価した。細胞増殖についてはBrdU陽性細胞数で評価をする。角膜上皮欠損創の残存部の面積はShhΔCE,Shhf/wtの両マウス間に統計的有意差はなかった。BrdU陽性細胞数は角膜上皮剥離6時間後のShhΔCEマウスの角膜上皮でShhf/wtマウスと比較し有意に抑制されていた。Sox9は角膜輪部上皮の幹細胞/前駆細胞の増殖や分化の調節に関係しており、その発現を促進するシグナルのひとつにShhシグナル伝達経路があるとされている。角膜上皮創傷治癒過程でのSox9の発現を免疫染色で検討したところ、角膜上皮剥離12時間後のShhΔCEマウスの遊走している角膜上皮でShhf/wtマウスと比べSox9の発現の増強が見られた。 また、TUJ1抗体を用いた角膜のホールマウント免疫染色により非損傷下での角膜内の神経分布を観察すると同時にCochet-Bonnet角膜知覚計を用いて角膜知覚を現在検討中である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(角膜上皮創傷治癒の検討) 角膜上皮欠損創の残存部の面積はShhΔCE,Shhf/wtの両マウス間に統計的有意差はなかった。BrdU陽性細胞数は角膜上皮剥離6時間後のShhΔCEマウスの角膜上皮でShhf/wtマウスと比較し有意に抑制されていた。 Sox9は角膜輪部上皮の幹細胞/前駆細胞の増殖や分化の調節に関係しており、その発現を促進するシグナルのひとつにShhシグナル伝達経路があるとされている。角膜上皮創傷治癒過程でのSox9の発現を免疫染色で検討したところ、角膜上皮剥離12時間後のShhΔCEマウスの遊走している角膜上皮でShhf/wtマウスと比べSox9の発現の増強が見られた。 (角膜内神経分布の検討) ShhΔCE,Shhf/wtの両マウス間で角膜内の神経分布に差は見られず、Cochet-Bonnet角膜知覚計による角膜知覚の測定でも両群間に統計的有意差は無かった。神経軸索ガイダンス分子であるNetrin1の発現に差は見られなかった
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Strategy for Future Research Activity |
Shhとそのシグナル伝達経路の下流にある転写因子Gli1の発現の発現の確認を予定である。ShhΔCE,Shhf/wtの両マウスの角膜上皮では正常状態および創傷治癒過程を通して細胞質および基底膜でShhの発現を確認予定である。また、転写因子Gli1の発現を確認するために角膜表皮欠損モデルにて蛍光染色を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が無いため、記入しない。
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Research Products
(2 results)