2019 Fiscal Year Annual Research Report
Angiogenesis in scarless wound healing
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18K16997
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡部 圭介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50445350)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マウス胎仔の創傷治癒において皮膚再生が可能であるメカニズムに血管新生が関わっているとの仮説のもと、胎生中期における血管新生メカニズムが、胎生後期以降のそれとどのような共通点を持ち、どのような独自性をもつのかについて調べることを目的に行った。マウス胎仔皮膚は胎生13日目までは瘢痕を残さず治癒する再生能力を持つが、胎生14日目以降にはそれが失われ、瘢痕を残して治癒するようになる。その治癒過程における血管新生をホールマウント免疫染色標本でしらべたところ、胎生13日目の創部ではその早期(12時間後)から創部中央へ伸びる旺盛な血管新生が観察されたが、胎生14日目以降ではそれを全く欠いていた。このことから、治癒過程の早期から創内へ血管新生が起こることが、その後の再生と関与しているのではないかと考えられた。創部中央へ伸びる血管新生は、細かく観察するとtip cellと呼ばれる、filopodiaを多数持つ特殊に分化した血管内皮細胞が多数認められたことから、主に発芽sproutingによる血管新生が起こっていると考えられた。新生児期の網膜血管新生などとの相同性を考慮し、胎生期皮膚創部の血管新生においてもHIF1-VEGF系が深く関与することが予想されたが、胎齢ごとの比較ではその発現量には有意差を認めなかった。一方、胎生13日目の創内の血管新生が起きている環境を細かく観察すると、創部の浅い層にCXCR4を強く発現するマクロファージが多数観察され、胎生14日目以降ではそれが認められなかった。以上から、皮膚再生が可能な胎生中期以前に血管新生が起こる背景には胎生マクロファージが関与することが示唆されたが、具体的な分子メカニズムの解明は今後の継続的な研究によって明らかにする必要がある。
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Research Products
(1 results)