2018 Fiscal Year Research-status Report
CXCR4陽性マクロファージは皮膚損傷後の瘢痕を抑制するか
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18K17000
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
崎尾 怜子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70723261)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 皮膚再生 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは以前よりマウス胎仔の無瘢痕性創傷治癒のメカニズムを探るべく研究を行ってきたが、その過程で、再生が可能な胎生13日目の創部真皮~皮下浅層においてCXCR4遺伝子の発現が高いことを見出した。免疫染色を行ったところ、実際に胎生13日目の創部真皮直下に集積するマクロファージがCXCR4を高発現し、胎生17日目の創部ではこの発現がほとんど認められないことが明らかとなった。。さらに、創部からRNAを抽出してRT-PCRを行い、胎生13日目の創部でCXCR4 が高発現していることを確認した。CXCR4のリガンドであるSDF-1/CXCL12の免疫染色を行ったところ、こちらは創傷部位深層に存在するマクロファージに強い発現を認めることが分かった。マウスでは胎生中期以前(胎生13日目まで)は皮膚損傷後に瘢痕を残さず再生することが示されているが、同時期に限ってCXCR4陽性マクロファージが創部へ集積することから、本細胞が皮膚の再生に深く関与することが考えられる。現在、マクロファージ特異的にCXCR4をノックアウトするモデル(Csf1r-Cre+CXCR4-floxマウス)で検証実験を進めている。これまでの実験から、胎生13日目のマウス皮膚に存在するマクロファージと胎生15日目のマクロファージの遺伝子発現を網羅的に解析し、その遺伝子発現が大規模に変化していることを見出している。FACSによる解析でも、2群は異なる細胞集団として展開され、卵黄嚢由来のマクロファージが特別な表面抗原を発現し機能が異なる可能性を久している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胎生中期以前の皮膚損傷部位にCXCR4陽性細胞が集積するという、本研究開始当初より観察されていた現象は再現性を持って確認されており、その意義についての研究を順次進めている。コンディショナルノックアウトマウスの胎仔創傷治癒モデルを用いた機能解析の準備を進めている。マウス交配の問題等で当初の予定よりやや遅れているが、技術的に解決困難な問題はなく、今年度中には有意な結果が出せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に遂行しきれなかった研究課題について引き続き取り組むとともに、本年度予定していた研究課題にも取り組む予定である。研究体制や実験の技術面で大きな問題なく経過しており、当初予定通りの計画で進行させることができると考えている。
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Causes of Carryover |
本研究はマウス生体を用いた実験を主体として進められており、その交配や出産状況によって進行速度が左右される性質を持つ。そのため次年度使用額が若干発生したものの、ほぼ予定通り進んでおり、当初計画通りの計画で助成金を使用する計画に変わりはない。
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