2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of cell death of adipocytes induced by osteocalcin
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18K17021
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大谷 崇仁 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (80759738)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オステオカルシン / ネクロトーシス / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は高濃度GluOCにより、脂肪細胞にネクロトーシスが誘導されるメカニズムを分子レベルで解明した。高濃度GluOCは脂肪細胞に発現したGluOC受容体であるGPRC6Aに結合し、それに伴い細胞内cAMP濃度の上昇とPKAの活性化を引き起こす。このとき、高濃度GluOC刺激では低濃度の場合とは異なり、核内のPKA触媒サブユニットの量が優位に増加し、核内の脂肪細胞特異的キナーゼであるSIK2がリン酸化され、不活化する。このSIK2はそのターゲット分子のヒストンアセチルトランスフェラーゼであるp300を不活化することが知られているため、高濃度GluOCによるSIK2の不活化によりp300が活性化し、転写因子FoxO1の発現が誘導される。このFoxO1はデス因子であるFasLの発現を誘導し、細胞膜上のFasLの局在を亢進させる。ここからがユニークな点であるが、この脂肪細胞膜上に発現したFasLはそれに隣接する脂肪細胞膜上のFas受容体に結合し、この隣接した脂肪細胞に細胞死すなわちネクロトーシスを誘導することを明らかにした。また、この分子メカニズムから我々が以前確認していた高濃度GluOCが3割程度の脂肪細胞にしか細胞死を誘導しない現象の謎が解明された。残りの7割程度の脂肪細胞はGluOCにより糖脂質代謝活性化ホルモンであるアディポネクチンの発現亢進および脂肪分解酵素であるATGLの発現亢進やペリリピンの活性化などにより代謝的に有利な性質をもつことが明らかとなった。 以上に示すように平成30年度は高濃度GluOCにより脂肪細胞にネクロトーシスが誘導されるまでのシグナル伝達経路を解明した。このことは現象そのものの発見にも大きな意義があるが、今後の臨床への応用も含めた研究の発展を考慮すると、GluOCの濃度によるその効果の違いを明らかにした点も独自性の高い成果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は高濃度GluOCにより脂肪細胞にネクロトーシスが誘導される分子メカニズムを細胞レベルで明らかにすることを目標とした。研究実績の概要にも記載したように、高濃度GluOCにより脂肪細胞にFoxO1の発現量が亢進し、それに伴いFasLの細胞膜上の発現が亢進し、隣接した脂肪細胞のFas受容体シグナルの活性化により、隣接した脂肪細胞にネクロトーシスが誘導されるという細胞内および細胞間シグナル伝達経路を明らかにすることができた。以上のことから、当研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はマウス個体を用いて高濃度GluOCの性腺周囲脂肪組織への影響を解析する。高濃度GluOCを継続投与したマウスの性腺周囲脂肪組織を回収し、重量測定、形態学的観察(脂肪細胞の大きさ、脂肪滴の数や大きさ)および生化学的検討(RT-PCR法、ウェスタンブロット法および共焦点レーザー顕微鏡等による関連分子の発現・局在変化の観察)を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品の購入が必要なくなったことおよび学会出張を見送ったことなどにより当該助成金が生じた。当該助成金は次年度の物品費および学会出張費として計上する。
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Research Products
(4 results)