2018 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌を誘発する歯周病原菌の同定とその発癌への影響解析
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18K17031
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
中島 慎太郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40817095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯周病原菌 / 口腔癌 / 細菌叢解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、被験者を増やし、今までのデータに新たに得られたデータを追加して解析を行った。これにより、各群の症例数は対照群93例、前癌病変患者群24例、口腔癌患者群86例となった。歯周組織検査および舌細菌数の統計解析の結果、口腔癌患者群では対照群、前癌病変患者群と比較して、特にprobing depth(PD)、bleeding on probing(BOP)の値が有意に高かった。さらに、口腔癌患者群では対照群と比較して、残存歯数が少なく、舌細菌数が多いことがわかった。 唾液より抽出したDNAサンプルをテンプレートとしたpolymerase chain reaction (PCR)法による歯周病原菌の検出は、当該年度より検出する歯周病原菌種を増やしており、現在解析を行っている最中である。また、対照群と口腔癌患者群の唾液DNAサンプルを用いて、次世代シーケンサーによる細菌叢解析とその比較を行った。菌組成のUnifrac-weighte距離のADONIS検定の結果、群間の距離に有意差が認められた。以上より、口腔癌患者では歯周病が増悪傾向にあり、口腔癌患者特有の口腔内細菌叢を有していることが示唆された。 重要な点として、これまでのPCR法による歯周病原菌検出および細菌叢解析の結果から、口腔癌の誘発への関与が示唆される歯周病原菌を挙げることができた。現在、これらの歯周病原菌が口腔癌発癌へどのような影響を与えるかについて、マウスを用いた予備実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り、被験者数を増やし、臨床データとPCR法による歯周病原菌検出データの統計学的解析を進めることができた。また、得られたDNAサンプルを次世代シーケンサーを用いた細菌叢解析に供し、群間における細菌叢の比較を行うことができた。 上記の結果より、口腔癌の誘発に関与することが示唆される歯周病原菌を挙げることに成功した。 すでにマウス舌癌発症モデルと組み合わせた予備実験も始められていることから、研究計画は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、次年度以降も、当該年度と同様に被験者数を増やし、各群100例以上の被験者を集めることを目標とする。また、マウス舌癌発症モデルを用いた実験を平成31(令和元)年度中に行い、同年度内から平成32(令和2)年度にかけて、同定されるであろう歯周病原菌がどのような機序で口腔粘膜に口腔癌を誘発しているのか、in vitroの実験系を用いて解明したいと考えている。 なお、当該年度までの研究成果は、第64回日本口腔外科学会総会・学術大会にて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、細菌叢解析の解析費支払いが次年度に持ち越されたこと、国際学会での発表を見送ったことが挙げられる。今年度に入り、すでに解析費として約60万円を支払い済みである。 次年度使用額は、今年度の助成金と併せ、主に消耗品とマウスの購入、国内学会および国際学会への参加費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)