2022 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of the characteristic periodontal pathogens in the patient with oral squamous cell carcinoma and analysis of the effects of these pathogens on carcinogenesis.
Project/Area Number |
18K17031
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
中島 慎太郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40817095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周病原菌 / 口腔癌 / 口腔潜在的悪性疾患 / 16S rRNA菌叢解析 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、これまでに得られた結果の再解析と論文執筆を行った。 本研究は、口腔癌の発症に関与する歯周病原菌を同定し、その関与を実験的に証明することを目的として行った。 まず、口腔粘膜疾患の有無と歯周病進行度の関連を明らかにするため、口腔粘膜疾患のない患者112名(対照群)、口腔潜在的悪性疾患患者36名(OPMD群)、口腔扁平上皮癌患者104名(OSCC群)に対して歯周組織検査を行った。検査の結果、疾病群(OPMD群、OSCC群)では、対照群と比較して歯周病が進行していた。 次に、各群に特徴的な口腔内細菌を調査するため、患者洗口液から抽出したDNAを用いて、endpoint PCRと16S rRNA菌叢解析を行った。PCRの結果、OSCC群では、他の2群と比較してPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis)、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、Treponema denticolaを有する患者の割合が高かった。また、菌叢解析の結果、菌叢の構成菌種とそれらの存在比率が3群間で異なることが示唆された。各2群間における口腔内細菌の相対存在比率を解析した結果、疾病群では、対照群と比較してPrevotella intermedia、Filifactor alocis(F. alocis)、Parvimonas属菌の存在比率が高く、Veillonella属菌、Oribacterium属菌の存在比率が低かった。 さらに、歯周組織検査で得られた臨床パラメータと各菌種の存在比率の関係性について解析した結果、OSCC群では、歯周病の重症度に関わらず、P. gingivalisとF. alocisの存在比率が高かった。 これらの結果から、特定の口腔内細菌の存在とその存在比率の偏りが、口腔粘膜疾患の誘因となる可能性が示唆された。
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