2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of signaling mechanisms through leptin receptors in bone marrow mesenchymal stem cells
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18K17034
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
黄地 健仁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30803564)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 造血幹細胞 / LepR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体内・外において主要MSCsマーカーであるLepRがどのように骨髄環境に影響を与えているかを明らかにすることである。これにより、良好な骨髄内環境を構築する決定因子を解明できる可能性がある。 本研究実施計画としては、申請者がこれまでに行ってきた細胞分離・可視化技術を用い、 特定の細胞を分離し、その細胞の動態を生体内・外で観察する。db/dbマウスはLepRの下流シグナル(JAK2/STAT3経路)に障害をもつものの、細胞表面にはLepR抗原を発現しているため、各種蛍光色素で標識したLepR抗体を用いることでフローサイトメーターにより細胞分離が可能である。本研究ではそのdb/dbマウスを用い、野生型マウス(WTマウス)と比較し、骨髄環境を解析する。 研究開始後、これまでにWTマウスとdb/dbマウスを用いてLepR(+)細胞を分離した。分離後、生体外で培養し、間葉系幹細胞としての性質に差を有しているかを解析した。間葉系幹細胞の培養法の特徴である血清添加培地による接着培養法で維持培養し、自己複製能を評価したところ、コロニー形成能において大きな差は生じなかった。さらにWTマウス、db/dbマウスにおいて造血幹細胞分画の評価を実施した。フローサイトメーターにおける分画表示ではグループ間において同等の結果を示した。令和元年度には造血幹細胞のNicheマーカーとして知られる間葉系幹細胞から骨分化系譜を標識するOsxの発現をdb/dbマウスにおいて認めた。また、これらの発現量はWTマウスと比較して大きな差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究成果としては、当初の計画に記載していたdb/dbマウスにおけるLepR(+)細胞の間葉系統評価を行なった。間葉系幹細胞から骨分化系統を標識するOsxの発現をdb/dbマウスにおいて認めた。また本結果は野生型マウス(WTマウス)と比較して数量変化は認められなかった。これにより、主要MSCsマーカーであるLepRの下流シグナル(JAK2/STAT3経路)に障害をもつdb/dbマウスは骨分化系統に影響を及ぼさない可能性が示唆された。今後はこれらの結果をもとに、当初の目的であった良好な骨髄内環境を構築する決定因子を解明するために、骨髄におけるもう一つの構成要素である造血幹細胞に関する詳細な研究を計画通り遂行することができる見通しであることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
主に当初の計画であった生体内実験を実施する。さらに、それに先立ち造血幹細胞との生体外共培養試験を追加実施する。またLeptin投与によるJAK2/STAT3活性や、薬剤試験によるJAK2/STAT3阻害条件を適時合わせる。骨髄でのLepR(+)細胞の生着の有無と細胞動態を観察する。骨髄サンプルを採取し、川本法を用いた切片作製を実施し、db/dbマウスのLepR(+)細胞の局在を同定し、周囲組織との評価を行う。具体的には従来の野生型マウス(WTマウス)と同様に洞様毛細血管周囲に存在するか、免疫組織学的評価を実施することで、db/dbマウスにおけるLepR発現、およびその下流シグナル(JAK2/STAT3経路)がどのように骨髄環境に影響を与えているか明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
研究は計画通りに順調に進捗し、必要最小限の支出で予定していた実験を行うことができたが、成果に基づいて購入を予定した抗体などの購入が一部海外取り寄せ手続きに時間を要し、次年度での納品の可能性があり、次年度に購入することとなったため。
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