2020 Fiscal Year Research-status Report
2種類のエナメルプロテインを用いた多機能性歯周組織再生用メンブレンの開発
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18K17040
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 裕一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30736179)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エナメル蛋白質 / 再生 / 再生材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル蛋白質であるアメロチンは歯の石灰化を促進し、自らも核となる性質があるとされている。本研究ではそのアメロチンを用いて、ラット頭蓋骨欠損モデルにおいて欠損部の骨治癒、骨再生にどのように影響するかin vivoで検討し、そのメカニズムをin vitroで検討した。前年度までにラット頭蓋骨欠損モデルにアメロチン含有メンブレンを欠損部に適用することで、有意なラット頭蓋骨の再生量がマイクロCT解析によって観察されており、組織切片上でも明らかな骨の治癒が観察できている。本年度は骨再生が起こったメカニズムを検討した。細胞実験によりアメロチンはMC3T3E1の石灰化結節の形成を促進するとともに、オステオポンチンの発現増加、細胞増殖を促進を促していた。タイプ1コラーゲン遺伝子、オステオカルシン、アルカリフォスファターゼ遺伝子の発現に有意な変化はなかった。アルカリフォスファターゼ活性は吸光度でも測定したが、有意な違いはなかった。これらの実験結果からアメロチンは石灰化結節を作るだけではなく、細胞に働けることで骨再生を促したと示唆される。本研究結果は、アメロチンの歯周治療領域のみならず整形外科領域での再生治療への応用への可能性を示唆していると考えている。今後、歯槽骨欠損モデルや骨折モデルなどにてアメロチンの効果を検討し、臨床応用を目指していく予定である。 本研究結果は英文雑誌への論文公開を予定しており、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に関しては当初の計画よりも若干遅れたものの、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果は、アメロチンの再生治療への応用への可能性を示唆しているが、ヒトへの応用に向けて明らかにしなければならない課題が多い。本実験では大腸菌由来のたんぱく質を用いているが、糖修飾など修飾された状態のたんぱく質を用いるとどのようになるのか、動物細胞で作成したタンパク質での検討も行っていく。今後、歯槽骨欠損モデルや骨折モデルなどにてアメロチンの効果を検討し、臨床応用を目指していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定されていた最終年度中に論文投稿を行いたかったものの、実験計画が若干遅れてしまった。残額は論文投稿中の2本の論文の出版費用、論文校正、リバイス実験費用に充てる予定である。
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