2021 Fiscal Year Research-status Report
リソソームにおけるコレステロール代謝とHMGB1分泌を関連づける新機構
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18K17041
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大出 貴資 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (30804190)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HMGB1 / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は口腔内の細菌量の変化や細菌叢の変化などへの炎症反応によって生じる、慢性炎症疾患である。一方で歯周病は全身疾患、例えば肥満や糖尿病などの代謝性疾患との関連が指摘されている。High mobility group box protein-1(HMGB1)は全ての有核細胞の核内に存在する非ヒストン核蛋白質で、核内に様々な転写因子の活性を間接的に調節している。またHMGB1は細胞質や細胞膜上にも発現し、神経突起の伸長、平滑筋細胞の遊走、癌細胞の浸潤,転移などにも関連している。歯周病においては細菌感染や障害を受けた歯肉上皮細胞などからHMGB1が放出される炎症性メディエーターとして働く。このHMGB1 放出にはオートファジーの分子装置が関与すると考えられているが、これまでに代謝性疾患とHMGB1放出との関連は明らかになっていない。申請者はこれまでコレステロール輸送阻害剤によってコレステロール がリソソームへ蓄積し、阻害剤の刺激によって、細胞外にHMGB1が分泌されていることを明らかにしてきた。本研究ではこのHMGB1分泌にはMammalian/mechanistic target of rapamycin (mTOR)C1 がリソソーム膜上で不活性化する機構が関与していると考え、コレステロール輸送阻害剤による mTORC1 活性・mTOR 細胞内局在への影響を検討した。 前年度まで、コレステロール輸送阻害剤によるmTORC1 の不活性化を認めることができなかったことから実験条件を変更し検討を行った。マウスマクロファージ(RAW264細胞)に対し、異なる濃度でコレステロール輸送阻害剤にて刺激を行い、下流に存在する S6 kinase beta(S6K) のリン酸化およびオートファゴソームの形成を評価したが評価したが、やはりコレステロール輸送阻害剤によるmTORC1活性の著明な変化を確認することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響による実験計画の遅れと、期待していた実験結果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス前骨芽細胞 (MC3T3-E1細胞)にて効果が認められるセラミドアナログ (D-PDMP)を作用させ、その効果を検討する予定である。効果があれば、D-PDMP の効果の普遍性が示唆され、その逆の場合はMC3T3-E1 細胞と比較することでメカニズムの手がかりとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響による実験計画の遅れ。予定している実験を今年度に継続する。
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