2018 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う象牙質のう蝕耐性獲得メカニズムの解明と歯科治療への応用
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18K17047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 祐輔 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40808507)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | う蝕 / コラーゲン / 糖化最終産物 / pentosidine |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト抜去歯の未脱灰の健全象牙質を固定、脱水処理後エポキシ樹脂に包埋する。ウルトラミクロトーム及びダイヤモンドナイフにて90nmの超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)および免疫電子顕微鏡を用いて象牙質の石灰化および基質コラーゲンの微細構造観察を行い加齢およびう蝕に伴う構造の変化を評価を行った。透過型及びTEMを用いた免疫電顕法に関してはこれまでも我々のグループで手法の蓄積があり、バクテリアの侵入や基質の破壊状態が脱灰及び菌の管間象牙質への侵入をトリガーとして急激に進んでいく様相が確認できた。今回の微細構造観察の1つに微細領域の3次元構造を可視化するFIB-SEM法を用いた。本手法は比較的大きなサンプル(数百μm四方)の観察が行うことが出来るためう蝕の進展様相などを直感的に観察することが可能となった。本手法に、白金ナノコロイドを付けた2次抗体を用いた免疫染色を併用することにより3次元的にターゲット物質が存在するエリアを特定することが出来た。 今回の分析では、ターゲットとしている糖化物質カルボキシメチルリジン(CML)が健全象牙質においては象牙細管の周囲に局在しているのに対して、う蝕罹患象牙質においては管間象牙質の内部にまで浸透しておりう蝕において糖化コラーゲンの比率が非常に高まるということが分かった。これらのことから糖化コラーゲンとう蝕進展部位には大きな関連があり、糖化最終産物であるpentosidineなどの蛍光性架橋型AGEsの蛍光領域をを調べることでう蝕の広がりの評価が出来ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年予定していた齲蝕罹患部位の微細構造観察及びターゲット物質の動きを突き止めるための免疫染色法及び免疫電顕法は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
31年度の早い段階で3次元構造観察手法を確立し3次元的さらにはう蝕の進行に応じた糖化物質の局在を明らかにしていく予定である。さらに微量の象牙質からコラーゲンを抽出分解し、ウエスタンブロット法で表層から深層までのう蝕領域ごとのAGEsの比較する。またアミノ酸レベルまで分解後、ELISA、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用しAGEsの定量化を行う予定である。象牙質コラーゲンの抽出法について、う蝕理象牙質と健全象牙質から同一大の微小区画を切り取る必要があるため、顕微鏡用ミクロトームとレーザーマイクロダイセクションの使用を検討している。
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Causes of Carryover |
消耗品等の物品費を安く調達できたため。
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Research Products
(3 results)