2019 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスが歯肉上皮タイトジャンクションに与える影響:歯周病発症予防を目指して
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18K17049
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高知 信介 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (70803138)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / タイトジャンクション / 抗酸化剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病の発症・進行を予防することは,口腔のみならず,全身疾患の予防のためにも非常に重要である。しかしながら,歯周病発症の最初に起こる,歯肉上皮の 接着の破壊には不明な点が多く,メカニズムは解明されていない。そこで申請者は,酸化ストレスがその破壊の原因になっていると仮説を立て,「酸化ストレス が歯肉上皮のタイトジャンクションに与える影響を解明すること」を目的に研究を行った。令和元年度に行った研究成果は下記の通りである。 ①細胞培養:前年度まではprimaryなヒト歯肉上皮細胞を使用して実験を行う予定だったが,培養が困難で,実験を行うにあたり安定した供給ができないため,不死化したヒト歯肉上皮細胞による細胞培養を行った。 ②酸化剤と抗酸化剤の添加:前年度調べた濃度で,培養した細胞に酸化ストレス物質である過酸化水素を添加したところ,細胞は著明な細胞障害性を示し,酸化ストレス度は上がった。しかしながら,抗酸化剤であるビタミンEを前処理してから過酸化水素を添加しても,細胞障害性と酸化ストレス度の上昇は,過酸化水素単独の時より軽減された。 ③タイトジャンクションに与える影響:②の条件で歯肉上皮細胞のタイトジャンクションの状態を免疫蛍光染色で視覚的に確認した。その結果,タイトジャンクションの構成因子であるclaudinは,過酸化水素の添加で著明に蛍光強度が下がったが,ビタミンEを前処理してから過酸化水素水を添加しても,蛍光強度の低下は過酸化水素単独の時より軽減された。 令和2年度は,これまでの研究で明らかになった歯肉上皮細胞に対する酸化ストレスがタイトジャンクションに起こる影響を,ウエスタンブロッティングによる量的,経上皮電気抵による機能的な検討を行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年6月に一身上の都合で,岡山大学・助教を退職した。その後,研究を行っていくために客員研究員となったが,週1回しか出向けないため,研究のアクティビティーは大きく下がった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,週1回しか岡山大学に研究に出向けなくなったが,学外での時間の使い方を工夫しながら,予定通りの研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度は試薬等に当初計上した金額よりも経費を抑えることができたため僅かではあるが次年度使用が生じた。 当該予算については、次年度実施する実験に必要な物品購入に充当する予定である。
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