2018 Fiscal Year Research-status Report
HMGB1が有する血管新生能,幹細胞遊走能を応用した新規組織再生治療
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18K17050
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
青柳 浩明 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (10814501)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HMGB1 / 抜歯 / 炎症 / 免疫細胞 / 骨治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,HMGB1が炎症のコントロールおよび免疫細胞の遊走を促進することによって,抜歯後の骨治癒を促進する作用があると考え,研究を行なっている。 HMGB1の機能を阻害する抗HMGB1抗体が創傷治癒を抑制するという仮説を立て,in vivoでの検討を行なった。その結果,抜歯モデルマウスに抗HMGB1抗体を投与した先行研究において,炎症強度を測定するために分子イメージングを用いて解析した結果,抗HMGB1抗体を投与した群では,抜歯後1日目,3日目,5日目そして7日目全ての時期の炎症は抑制されていた。一方,コントロール抗体投与群では,抜歯後3日目をピークに炎症が増強してその後減弱した。すなわち,抜歯窩周囲組織の歯肉上皮細胞および炎症性細胞から分泌されるHMGB1が抜歯後の初期炎症および炎症細胞の浸潤に深く関わっていたことを明らかとした。その結果,抜歯後に歯肉上皮細胞や炎症性細胞から分泌されるHMGB1がマクロファージや血管内皮細胞などを遊走促進し,血管新生の促進,骨のリモデリングの破骨細胞および骨芽細胞に深く関わり骨新生を制御していたことを明らかとした。 したがって,HMGB1が誘導する初期炎症を上手くコントロールすることができるならば,生体内に存在する幹細胞を局所に誘導することによる新たな再生医療につながるのではと考えた。今後は,脛骨損傷モデルおよび抜歯モデルマウスを作製してリコンビナントHMGB1タンパクを用いて組織再生を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,リコンビナントHMGB1タンパクを用いた実験を行う予定だった。しかし,動物実験計画書などの申請受理が遅れたことと,リコンビナントHMGB1タンパクの作製および確立に時間がかかってしまい,今年度にずれ込むこととなった。しかし,動物実験計画書などの準備が整ったことから,本年度は滞りなく研究が進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
リコンビナントHMGB1タンパクを用いたマウスおよびコントロールマウスを用いて脛骨損傷モデルおよび抜歯モデルマウスを作製する。その後,分子イメージングによる炎症の定量,μCTを用いた新生骨の定量,組織切片を用いた免疫染色を行う。また,組織より骨髄を採取しフローサイトメトリーを用いて遊走細胞の機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度は,消耗品費について予定していた額よりも僅かであるが差額が生じた。 残額については,次年度、解析のための消耗品の費用に使用する。
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Research Products
(4 results)