2018 Fiscal Year Research-status Report
老化細胞による歯周病増悪機構の解明と新規治療法の確立
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18K17058
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
尾崎 友輝 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (10802902)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯周病 / 老化 / HAECs / SAA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、OPG-/-マウスおよび実験的歯周病モデルにおいて、老化細胞の影響を除去することで、W9の投与による歯槽骨吸収抑制作用と歯槽骨形成作用が増強できるかということを目的としている。 以前に,我々の研究グループにおいて,遺伝的高脂血症モデルマウスに歯周炎を誘発すると,肝臓で産生される血清アミロイドA(SAA)が血液中に増加し,血管内皮細胞のtoll-like receptor2 (TLR2)を受容体として,血管内皮細胞表面に各種接着因子が発現し,単球の接着,血管内膜への侵入,マクロファージ化が起こることによって,動脈硬化症が悪化することを発見,確認してきた。しかし,歯周病と動脈硬化症の両疾患に共通の危険因子である老化の影響程度は依然として不明のままである。 以上より,歯周病と動脈硬化症の相関性に,老化という因子がどのように関連するかということを検討することとした。 これまでの研究実績として,若年者(21歳,27歳)および高齢者(81歳)より提供されたヒト大動脈血管内皮細胞(Human Aortic Endothelial Cells:HAEC)に対して,肝臓で産生される急性炎症マーカーである血清アミロイドA(Serum Amyroid A:SAA)のリコンビナント体を25 μg/ml添加し,10日または20日培養し,RNAを抽出した。そして,老化関連遺伝子であるp16,p21,p53の遺伝子発現を検討した。その結果,各細胞群で有意差は認められなかった。 今後,in vivoにおける歯周病と動脈硬化症における老化との関連性を検討するため,現在加齢マウスを飼育中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HAECsより抽出したRNAを使用してPCR法による遺伝子発現の検討を行ってきたが,同じサンプルを使用しても得られた結果が異なってしまうなどのトラブルが多々あった。考察した結果,使用した細胞の劣化や保存状態が悪かったため,サンプル自体に問題があることや,使用したプライマーの設計を見直す必要性があると結論付けた。これらのことより,必要以上に同じ実験を繰り返してしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
予想に反した結果が生じた際に,実験の手技や使用した材料等に問題がないかなどのトラブルシューティングに対して,迅速に対応することを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,研究の進捗状況が当初の予定よりも遅れてしまい,購入し使用する予定であったマウスや,プライマーなどの消耗品を未購入であるため。 使用計画としては,2018年度に未購入であったマウスの購入費および飼育費(約¥500,000),使用器具購入費(約¥100,000),および使用薬剤購入費(RNA精製キット,抗体,培養液,血清,約¥230,000)に充てることを想定している。
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