2018 Fiscal Year Research-status Report
フェニトイン・ニフェジピン誘導性歯肉増殖症のメカニズム解明
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18K17070
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡信 愛 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (00806581)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フェニトイン / ニフェジピン / シクロスポリンA / 薬物性歯肉増殖症 |
Outline of Annual Research Achievements |
・フェニトイン(PHT)、ニフェジピン(NIF)誘導性歯肉増殖症モデルマウスの確立を目指した実験 これまでにPHTの代謝産物である5-HPPHが歯肉増殖症発症に関与しているという報告がある(Ieiri et al., 1995)。腹腔内投与では肝臓の代謝を受けにくいため、5-HPPHの産生が低い。この点を踏まえ、絹糸結紮歯周炎モデルマウス(c57BL/6)にPHT(150 mg/kg/day)及びNIF(200 mg/kg/day)を4週間経口投与、あるいは代謝産物である5-HPPHを腹腔内投与し、歯肉増殖症の発症について評価した。 ・in vitroにおける新規薬物性歯肉増殖症モデルの作製 in vitroにおいて、歯肉増殖症を引き起こすシクロスポリンA(CsA)、PHT、NIFをヒト歯肉線維芽細胞(HGF)に前投与することで、TGF-β刺激で上昇するType 1 collagenのmRNA発現に及ぼす影響をリアルタイムPCRを用いて解析した。 結果と考察 マウスにPHT、NIFを4週間経口投与、あるいは5-HPPHを腹腔内に投与したところ、歯肉は増殖傾向を認めるものの、対照群と比較し有意な差は認めなかった。本実験で使用したマウスはPHTの高濃度投与で昏睡状態に陥るため、高濃度では実験の継続が困難であった。そこで、現在は低濃度(25 mg/kg/day)のPHT、NIFを長期間(8週間)腹腔内投与する実験で歯肉増殖の程度について評価を行っている。また、in vitroの実験では、HGFにCsAを前投与すると、TGF-β刺激で上昇するType 1 collagenのmRNA発現を更に上昇させた。したがって、増殖症を誘導する薬剤を前投与することで、HGFを介した歯肉のコラーゲン産生が過剰に引き起こされる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で本研究はフェニトイン、ニフェジピン誘導性歯肉増殖症モデルマウスの確立には至っていないものの、研究結果は予想した範囲内であり、今後は濃度や投与方法を変更し、さらに検討を重ね実験を継続することで、新規モデルマウスの確立は十分可能であると考える。 また、in vitroでのヒト歯肉線維芽細胞を使用した薬物性歯肉増殖症のメカニズム解明に向けた実験モデルも確立しつつあるため、今後も遅滞なく研究を遂行することができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoにおいて、マウスに低濃度(25mg/kg/day)のPHT、NIFを長期間(8週間)腹腔内に投与する実験を行い、歯肉増殖の程度について評価を行う。また、マウスの種を変更し同様の実験を行い、歯肉増殖について検討を行う予定である。増殖症モデルマウス作製後は、結紮した絹糸を除去あるいは薬物の投与を中止し、歯肉増殖の程度の改善について評価を行う。 またin vitroにおいてはHGFにPHT、NIFを前投与した後TGF-βを作用させる実験を行い、Type 1 collagen等の線維化に関与する遺伝子発現の変化について検討する。
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Causes of Carryover |
in vivoで使用したマウスが想定より低価格で購入可能であったため、次年度のin vitroの実験における培養試薬の購入などに充当する計画である。
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