2020 Fiscal Year Research-status Report
外傷性咬合による骨吸収への静止期破骨細胞前駆細胞の関与と血管内皮増殖因子の影響
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18K17072
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 恭徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10782568)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 咬合性外傷 / 静止期破骨細胞前駆細胞 / 破骨細胞 / TRAP染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内には増殖することなく破骨細胞に分化しうる細胞休止期の破骨細胞前駆細胞(QOP )が存在しており(Mizoguchi T, J Cell Biol, 2009 )、これは歯周炎にも関与することが示唆されている (Lee DE, J Periodontal Res, 2015 )。また歯根膜細胞は恒常的に破骨細胞分化 因子(RANKL )を発現していることから、歯根膜にはRANKL 刺激を受けた破骨細胞前駆細胞が存在していると考えられる。外傷性咬合による歯槽骨吸収にもQOP やRANKL 前刺激を受けた破骨細胞前駆細胞が関与しているのではないかと考えた。今回の研究の目的では外傷性咬合による破骨細胞形成におけるQOPの関与を検討した。 マウス外傷性咬合により形成される破骨細胞でのQOP の関与を検討するため、BrdU 溶液を8週齢のCB-17マウスに腹腔内投与した。BrdU はDNA 前駆体の一つであるチミジンの類似物で、DNA 合成期のS 期に取り込まれる。静止期の細胞であるQOP はBrdU を取り込まないことを利用してQOP の関与を検討した。そしてマウスの上顎左側第一大臼歯咬合面に直径0.4mm、1mmのステンレスワイヤーをスーパーボンドにて装着した。その後0, 1, 2, 3, 4, 5 日に屠殺、下顎第一大臼歯を摘出して根分岐部が観察できるように組織切片を作製して、骨吸収状態を病理組織学的に、また、破骨細胞の核内のBrdU 陽性あるいは陰性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で試薬の調達に半年を有したことで、実験が一時中断していた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では以下のことを明らかにする。1)外傷性咬合により形成される破骨細胞に QOP が関与しているか (平成 30 ~31 年度)2)外傷性咬合を付与した時の骨吸収に VEGF が促進的に関与しているか (平成 31 ~32 年度)3)VEGF が QOP の遊走および破骨細胞への分化を促進するか (平成 32 ~33 年度) 1)、2)については、上記、アメリカ歯周病学会において結果を報告できた。3)については、現在、継続的に実験中である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、試薬等の物品購入に遅れが生じ、それに伴い、マウス購入、実験実施が遅れている。次年度使用額は、試薬やマウスの購入に充てる予定である。
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