2018 Fiscal Year Research-status Report
歯周組織における仮足形成関連因子の発現・機能解析と制御機構の解明
Project/Area Number |
18K17073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
祐田 明香 九州大学, 大学病院, 助教 (20814081)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PDLIM5 / 仮足形成 / 歯肉のダウングロース / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は歯根膜および歯槽骨を含む歯周組織破壊を伴う疾患である。現在、歯周組織本来の機能・構造を回復する「歯周組織再生療法」が脚光を浴びているが、歯周組織再生の際、歯根膜および歯槽骨より、歯肉上皮および歯肉結合組織の増殖速度が速いため、歯肉のダウングロースが起こり、歯根膜の再生が困難であるため、歯肉上皮および歯肉結合組織の成長を抑制し、さらに歯根膜に対し再生を促す方法の確立が待望されている。本研究では、仮足形成関連タンパクであるPDZ-LIM ファミリーに属するPDZ-LIM domain 5 (PDLIM5)に注目し、CRISPR-cas9によるPDLIM5ノックアウトおよびプラスミドベクターのトランスフェクションによりPDLIM5を過剰発現させたヒト歯根膜細胞およびヒト歯肉上皮細胞を作製し、仮足形成、コラーゲンリモデリング、細胞の遊走能、線維形成能ならびにシグナリング経路の解析を行い、PDLIM5がヒト歯根膜細胞およびヒト歯肉上皮細胞に及ぼす影響を検討する予定である。 当初はプライマリーのヒト歯根膜細胞、ヒト歯肉上皮細胞として歯肉上皮癌由来の細胞株(Ca9-22細胞)を使用予定であった。しかし、より臨床に則すため、また安定した実験を進めるため、健常者の歯根膜細胞由来の株化されたヒト歯根膜細胞、健常者の歯肉上皮細胞由来の株化された歯肉上皮細胞を使用することとし、他機関の協力も得て、各々の細胞を使用可能としている。 現在、CRISPR-Cas9の細胞への導入に期間を要したため、研究の進捗状況はやや遅れている。しかしながら、PDLIM5がヒト歯根膜細胞およびヒト歯肉上皮細胞に及ぼす影響が証明されれば、歯周組織再生治療の際起こりうる、歯肉のダウングロース防止に応用できる可能性があると考えられるため、今後も研究計画通り実験を進めていく予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はプライマリーのヒト歯根膜細胞、ヒト歯肉上皮細胞として歯肉上皮癌由来の細胞株(Ca9-22細胞)を使用予定であったが、より臨床に則すため、また安定した実験を進めるため、健常者の歯根膜細胞由来の株化されたヒト歯根膜細胞、健常者の歯肉上皮細胞由来の株化された歯肉上皮細胞を使用することとした。株化されたヒト歯肉上皮細胞使用に関し、他機関の承諾、また細胞を譲渡に多少期間を要した。しかし、各々の細胞を使用可能としている。 また、CRISPR-Cas9の細胞への導入に期間を要したため、研究の進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR-cas9によるPDLIM5ノックアウトおよびプラスミドベクターのトランスフェクションによりPDLIM5を過剰発現させたヒト歯根膜細胞およびヒト歯肉上皮細胞における、仮足形成、コラーゲンリモデリング、細胞の遊走能、線維形成能ならびにシグナリング経路の解析の継続を行い、PDLIM5がヒト歯根膜細胞およびヒト歯肉上皮細胞に及ぼす影響を検討する予定である。 細胞は、より臨床に則すため、また安定した実験を今後も進めるため、健常者の歯根膜細胞由来の株化されたヒト歯根膜細胞、健常者の歯肉上皮細胞由来の株化された歯肉上皮細胞の使用を継続する。
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Causes of Carryover |
当該助成金が発生して理由として、実験の進捗状況がやや遅れていることが考えられる。 次年度は、実験が進むにあたり、実験材料費が前年度より生じる予定である。 今後も、実験材料費、また、研究結果発表予定のため学会参加費、旅費として、使用予定である。
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