2019 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームの顎関節関節円板の再生に対する有効性の証明と再生機構の解明
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18K17085
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 香織 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50817632)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 線維軟骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は過去の研究にて間葉系幹細胞(MSCs)により線維軟骨組織を再生させることに成功し、さらに分泌される液性因子の重要性、由来細胞によるMSCsの線維軟骨組織再生能の差異の知見を得た。本研究では由来組織の異なるMSCsより液性因子であるエクソソームを抽出しその作用を比較することにより作用機序の解析をおこなう。 【方法】患者より得た滑膜、骨髄、筋肉、脂肪からMSCsを単離、培養し、培養上清より各組織由来のエクソソームを精製した。軟骨細胞とMSCsに各エクソソームを添加した群をSyn群、BM群、Mu群、Adipo群、PBSを添加した群をControl群とした。各群に対し、増殖能をCCK-8assay(n=5)、遊走能をTrans well assay(n=4)で評価し、軟骨分化能をペレットカルチャーにて評価し統計学的検討を行った。続いてMSCs由来のエクソソームの線維軟骨再生能の評価を行った。評価方法の確立しているマウス半月板切除モデルに対し、週一回のエクソソーム関節内注射した群をエクソソーム群、PBSを注射した群をコントロール群として術後3週における組織学的な検討を行った。 【結果】軟骨細胞、SynMSCsの増殖能はSyn群、BM群、Mu群、Adipo群の全てのエクソソーム投与群においてControl群に比較し有意に上昇(P<0.05)を認めた、各エクソソーム投与群間での有意な差は認めなかった。軟骨細胞の遊走能も同様に全てのエクソソーム投与群で有意に上昇(P<0.05)を認めたが、各エクソソーム投与群間での有意な差は認めなかった。一方、SynMSCsの遊走能にはControl群に比較し有意な差は認めなかった。軟骨分化能関してはエクソソームによる向上は認めなかった。 線維軟骨再生能の組織学的評価においてはエクソソーム群においてコントロールに比較し有意に向上していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 由来組織の異なるMSCs由来のエクソソームに対するレシピエント細胞の応答の評価(増殖補助能、遊走補助能、分化補助能)。MSCs、軟骨細胞に対し、異なる細胞由来MSCsエクソソームと線維芽細胞エクソソームを一定濃度でそれぞれ添加し、増殖補助能、遊走補助能、分化補助能を評価する。当該研究は上記のように終了した。 2. エクソソームの顎関節円板再生能 (in vivo)ラット顎関節円板切除モデルに上記のMSCs由来エクソソーム等の投与を従来法であるMSCsの投与と比較検討する。 当該研究を計画していたが、ラット顎関節円盤状切除モデルにエクソソームを投与する際にエクソソームが流出する問題が生じ、問題改善に各種手法を試みたが困難であった。そのため、チームで相談検討し、線維軟骨再生能にフォーカスを拡げたモデルにて線維軟骨再生能を確認することとした。その後線維軟骨再生能モデルにてエクソソームの線維軟骨再生能を確認した、当該問題の克服に時間を要したため本研究はやや遅れた、第三段階の作用機序の網羅的解析とシグナル伝達経路解析を次年度に行う事となった。現在のところ、軟骨再生の向上の機序として特に増殖能の向上が寄与していると考えられたため、間葉系幹細胞にエクソソームを添加しRNAシークエンスにて網羅的解析を行うためRNAを抽出をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究にてエクソソームの線維軟骨再生能を確認した。また、エクソソームによる線維軟骨再生の機序の研究ではホスト細胞の増殖能、遊走能を増強し向上している可能性が見出された。そこで次年度の研究計画では以下の事を行う。 現在MSCsにエクソソームを添加したものと添加してないコントロールのMSCsよりそれぞれRNAを抽出しており、次年度RNAシークエンスにて網羅的解析を行う。その後、シグナル伝達経路をブロックしERKのリン酸化等をウエスタンブロッティングにて評価する研究計画を立てている。さらにシグナル伝達ブロック下での細胞増殖。線維軟骨再生能を評価する。これらによりエクソソームの再生能の機序を同定できると考える。
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Causes of Carryover |
エクソソームの顎関節円板再生能 (in vivo)ラット顎関節円板切除モデルに上記のMSCs由来エクソソーム等の投与を従来法であるMSCsの投与と比較検討する。 当該研究を計画していたが、ラット顎関節円盤状切除モデルにエクソソームを投与する際にエクソソームが流出する問題が生じ、問題改善に各種手法を試みたが困難であった。そのため、チームで相談検討し、線維軟骨再生能にフォーカスを拡げたモデルにて線維軟骨再生能を確認することとした。その後線維軟骨再生能モデルにてエクソソームの線維軟骨再生能を確認した、当該問題の克服に時間を要したため本研究はやや遅れた、第三段階の作用機序の網羅的解析とシグナル伝達経路解析を次年度に行う事となった。現在MSCsにエクソソームを添加したものと添加してないコントロールのMSCsよりそれぞれRNAを抽出しており、次年度RNAシークエンスにて網羅的解析を行う。その後、シグナル伝達経路をブロックしERKのリン酸化等をウエスタンブロッティングにて評価する研究計画を立てている。さらにシグナル伝達ブロック下での細胞増殖。線維軟骨再生能を評価する。これらによりエクソソームの再生能の機序を同定できると考える。 以上の経費として次年度に助成金の請求を計上した。
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[Journal Article] Anatomic femoral tunnel placement is difficult by the transtibial technique: comparison of three different femoral tunnel drilling techniques in double-bundle anterior cruciate ligament reconstructions.2020
Author(s)
Nakamura K1, Nakamura T1, Horie M1, Katagiri H1,2, Otabe K2, Nakagawa Y1,2, Amemiya M1, Sekiya I2, Muneta T1, Koga H3,4
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Journal Title
Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc.
Volume: 28
Pages: 584-593
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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