2018 Fiscal Year Research-status Report
新規セラミックス人工骨補填材の創製と骨伝導性発現機序の追究
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18K17093
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
荒平 高章 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (30706958)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人工骨 / セラミックス / 組織工学 / 生体材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、臨床使用されている人工骨補填材は限られており、例えばハイドロキシアパタイトとβTCPの中間的な性質を有する骨補填材は存在していない。また、HApとβTCPは経験的に臨床応用されてきた側面が大きく、その骨伝導性の機序は明らかにされていないのが現状である。そこで,本研究では、我々が発見した新規リン酸カルシウム化合物について人工骨補填材としての有用性を明らかにするとともに、現在臨床応用されているハイドロキシアパタイトとの化学的・物理的・力学的・生物学的性質の差を明らかにしながら、骨伝導性発現に寄与する材料学的要素を検討するものである。 本研究で取り扱うリン酸カルシウム化合物は石膏硬化体を前駆体として、リン酸ナトリウムを浸漬溶液として用いた溶解-再析出反応に基づく組成変換により得られることが分かっている。この処理条件を基本とし、石膏硬化体を処理するリン酸ナトリウム溶液のpH、温度、処理時間を変化させて組成変換を試みた。その結果、目的とするリン酸カルシウム化合物が生成する条件として,一定のpH領域,処理温度帯,処理時間があることが明らかになった.作製したリン酸カルシウム化合物において,X線回折装置による結晶構造解析,トリス緩衝溶液中での試料の重量変化による溶解性評価,トリス緩衝溶液のpH変化を測定した.これらの評価についてはハイドロキシアパタイトも同様に実施し,比較対象とした.その結果,リン酸カルシウム化合物はハイドロキシアパタイトとは違う結晶構造,溶解特性を示すことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験結果から,生成条件等を有効に検討することができた.また,材料作製に時間を要するため,事前に実験計画を立て,評価,分析に関してもスムーズに行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在まではおおむね計画通りに進んでいる.今後は,作製した材料の力学特性は構造観察など,材料評価をさらに進めていきたい. しかし,今年度,研究機関の異動に伴い,最終実験の動物実験に関しては,異動後の研究機関では実施困難であるため,研究計画にあらかじめ記載していた細胞培養によるIn Vitro評価で代用し,生体適合性などに関して評価・検討を実施していきたい.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,研究機関の異動に伴い,研究実施機関での研究環境整備のためである. 実施計画の代用として細胞実験を実施するにあたり,細胞培養実験を実施するための消耗品や機器の購入に充てたいと考えている.
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