2021 Fiscal Year Research-status Report
PJDを応用した機能性フッ素化アパタイト成膜による新規予防填塞法の開発
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18K17094
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉田 一賢 東北大学, 大学病院, 助教 (70803617)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パウダージェットデポジション / フッ素化アパタイト / FHA / 歯面 / 小窩裂溝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではフッ素を配合したハイドロキシアパタイトであるFHA粒子を合成し、パウダージェットデポジション(PJD)法を用いて歯面に成膜することで新規歯科予防治療の確立を目指すものである。FHA粒子の合成方法については既に確立されており、効率的に粒子合成が可能な状況である。すなわち、pH11.2硝酸カルシウム・四水和物とpH9.5リン酸水素二アンモニウムをCa/P=1.67で混合しACP粒子を合成した後,濃度(0-200mM)のフッ化ナトリウム水に投入しFHA粒子を合成することに成功した。さらにFHA粒子を0.1N-HCl溶液中に溶解し、電極法にてカルシウム、リン、フッ素濃度を定量する化学分析、XRDにより同定する組成分析、SEMにより結晶形態を評価する形態分析、FHA粒子をpH=4.0 0.05M酢酸緩衝液に浸漬し、溶出したカルシウム、リン濃度を計測する耐酸性評価を実施して、FHA粒子の物理化学的特性評価の実施を行った。
また、ヒト抜去歯を用いてPJD法による最適成膜条件を模索し、噴射距離:歯面から30mm、噴射角度:90度、噴射時間:1分、PJDノズル走査速度:10mm/秒、供給圧:5MPa、加速圧:5MPaの条件が最も効率良く歯面に対してFHA成膜を行うことができることが明らかとなった。さらに、新規歯科予防填塞処置の確立のため、ヒト抜去歯の小窩裂溝を基板として成膜を行った。この場合には噴射距離:小窩裂溝底部から50mm、噴射角度:90度、噴射時間:3分、PJDノズル走査速度:10mm/秒、供給圧:5MPa、加速圧:5MPaが最も効率よく成膜でき、成膜厚が100マイクロメートル程度の強固なFHA成膜層が確認された。現在、本研究結果を学会ならびに論文での公表を検討しており、その準備を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検証自体は遅れてはいないが、Covid-19感染拡大に伴う学会の開催延期、中止により研究結果公表が滞っているため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最適噴射条件はすでに確立している。今後は、臨床試験を実施し実際にヒトの歯面および小窩裂溝に噴射し、成膜性について検証する予定である。FHA成膜面に対して、処置前、処置後、処置1週間後、処置2週間後を評価ポイントとし、視覚的な成膜性の判定、患者満足度による成膜性の評価を予定している。被験者は10名とし、臼歯部を対象としている。上記臨床試験の準備と併行し、in vitroでの噴射条件、成膜性に関する論文の作成を進める。
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Causes of Carryover |
臨床試験実施時の被験者への謝礼、学会参加費、論文作成費としての使用を検討している。
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