2022 Fiscal Year Research-status Report
PJDを応用した機能性フッ素化アパタイト成膜による新規予防填塞法の開発
Project/Area Number |
18K17094
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉田 一賢 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (70803617)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | PJD法 / フッ素化アパタイト / 小窩裂溝齲蝕 / 齲蝕予防効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(HA)粒子を噴射することで直接的に歯面にHA成膜を行うPJD法を応用したもので、PJD法を用いて小窩裂溝へ成膜し、裂溝齲蝕に対して新たな予防法を開発するものである。 HA自体には直接的な齲蝕予防効果は認められないため、HA粒子にフッ素を添加したフッ素化アパタイト粒子(FHA)を成膜することで、齲蝕予防効果を期待する。噴射、成膜後に経時的にフッ化物イオンが溶出することで耐酸性を高め、齲蝕予防に繋げることを検討している。 前年度までFHA粒子の合成と小窩裂溝に対する最適噴射条件を模索しており、効率的な粒子合成法の確立および、小窩裂溝に対して、噴射距離3cm、噴射角度90°、圧力0.5MPa、FHA粒径3μmで最も効率的に成膜が可能であることが検証された。最適噴射条件は工学研究科の流体シミュレーションを活用し、シミュレーションと抜去歯への成膜との誤差を少なくすることで条件を設定した。 この条件でヒトの抜去歯にFHA成膜後、歯の脱灰に関するステファンカーブを模倣したpHサイクル試験を実施し、小窩裂溝からのCaイオン溶出量を調査したところ、未成膜の群、HA成膜群と比較して有意にFHA成膜群ではイオン溶出量が減少していたことから、FHA膜は耐酸性が高く齲蝕予防効果が十分に期待できる結果が得られた。 上記については現在、データを整理し論文を作成中である。また、本年度にはヒト抜去歯から実際にヒトの歯にFHA成膜を行う臨床試験の準備を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Covid-19の影響により、臨床試験に関して被験者の募集においては時間を要しているが、一方で研究プロトコルの作成は順調に進んでおり、準備ができ次第円滑に臨床試験を実施できる状況にある。また、FHA粒子の合成、噴射条件はすでに確立しているため、臨床試験での手技的な問題は少ないものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
pHサイクル試験の結果に関して、工学研究科と協力しながらデータ整理ならびに論文作成を行い、FHAの研究結果を広くアピールしていく。基礎的研究結果を公表しながら、その結果に基づいて臨床試験を実施し、PJD法によるFHA成膜の臨床応用を目指す。
|
Causes of Carryover |
臨床試験のためのプロトコル作成、人件費、被験者への謝礼に使用するため。また、論文校正費用、投稿費用が必要であるため。
|