2020 Fiscal Year Research-status Report
ポリフェノール光酸化反応を応用した殺菌消毒法の確立:より安全な補綴治療を目指して
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18K17108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉内 美智子 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (00757263)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポリフェノール / 水酸化ラジカル / 細菌芽胞 / 殺菌消毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度までの研究実績は、まず多剤耐性菌及び細菌芽胞の作成方法を確立したことである。また、本研究の目的であるポリフェノール光酸化反応による殺菌作用の評価に先立ち、その殺菌作用機序の主体である水酸化ラジカルを効率的に生成する過酸化水素光分解殺菌法(3%過酸化水素に波長400nmのLEDを照射することによって得られる水酸化ラジカルを利用した殺菌法)を用いて殺菌効果の検証をした。多剤耐性菌に対して過酸化水素光分解殺菌法を用いた場合、他の一般細菌に対する効果と同様に高い殺菌効果を示した。一方、細菌芽胞に対しては一定の効果を示したものの、他の一般細菌と比較して抵抗性を示すことが明らかになった。したがって、より効率的な殺菌条件の検討及び、抵抗性の機序解明を本年度の目的として、実験の実施を予定していた。 しかしながら、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年度当初から研究施設への立ち入りが制限されたため、予定していた実験が実施できなかった。したがって、これまでの研究実績の報告及び今後の研究計画について、研究室のメンバーと定期的にオンライン会議やメールで連絡を取り、相談した。 今後の計画は、まず過酸化水素光分解殺菌法で細菌芽胞を効率的に殺菌できる条件の検討を行い、細菌芽胞が水酸化ラジカルに対して抵抗性を示す機序を解明するため、殺菌試験後の細菌芽胞の形態変化を電子顕微鏡を用いて観察することも検討している。さらに、真菌(Candida albicans、 Aspergillus fumigatus)を用いた殺菌試験や、エンベロープを持たないウイルス(Feline calicivirus)を用いた不活化試験を行う。いずれに対しても、過酸化水素光分解殺菌法を用いた予備試験から水酸化ラジカルの殺菌効果を評価し、続けてポリフェノール光照射殺菌法を用いた試験を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年度当初から大学研究施設への立ち入りが制限されたため、研究室のメンバーと適宜メール等で連絡を取り研究計画を再考したものの、予定していた実験を行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年4月現在も、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、大学研究施設への立ち入り制限が継続されており、研究再開の目途は立っていない状況である。しかしながら、研究室のメンバーとはオンライン会議等を利用して定期的に連絡をとり、円滑に研究が再開できるように準備を進めている。 2021年度は、まず過酸化水素光分解殺菌法を用いて細菌芽胞を効率的に殺菌できる条件の検討を優先して行いたい。また、細菌芽胞が水酸化ラジカルに対して抵抗性を示す機序を解明するため、電子顕微鏡を用いた細菌芽胞の形態変化の観察も予定している。さらに、真菌を用いた殺菌試験やエンベロープを持たないウイルスを用いた不活化試験も予定している。承認された延長期間中に可能な限り多くの実験を行い、結果をまとめられるよう、適宜研究計画の見直しや修正を行いたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年度当初から大学研究施設への立ち入りが制限され、予定していた実験を行うことができなかったため。 2021年度における使用計画は、実験に必要な実験機器や試薬及び消耗品の購入に充てる予定である。
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