2020 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析を用いた、老齢マウスにおける骨欠損修復メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K17110
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪狩 洋平 東北大学, 大学病院, 助教 (10734270)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 老化 / 骨欠損修復 / 網羅的遺伝子解析 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
老化が骨欠損修復に与える影響については生物学的知見が乏しく、老齢個体の骨修復における分子メカニズムは未だ不明である。そこで、本研究は「高齢者と若年者とで、骨欠損修復における分子メカニズムは異なるのか」を調べることを目的とする。 これまでの予備実験から、マウス頭頂骨に作製する規格化骨欠損のサイズを直径2.4mmとし、サンプリングのタイムポイントに関しては、術後2週、4週、6週、8週、12週とした。若齢マウス(10週齢)と老齢マウス(50週齢)とを用いて頭頂骨規格化骨欠損の作製を行い、各タイムポイントでサンプリング後、マイクロCT撮影を行った。マイクロCT撮影が終わった試料は、順次、組織学的検討に用いる試料として、脱灰後にパラフィン包埋を行い、5μm厚の薄切切片を作製している。脱灰期間は、若齢マウスで4週間(1ヶ月)、老齢マウスで6週間(1ヶ月半)とした。 当該年度においては、老齢マウスと若齢マウスにおいて、骨修復過程におけるmRNA発現を定量解析し、統計学的に比較検討するために、骨欠損作製後1週・2週・4週・6週・8週で、骨欠損内部にできた修復骨を採取している。採取した修復骨を超音波ホモゲナイザーで破砕し、トータルRNAを抽出後、SYBRグリーンⅠを用いたReal-time PCR法で、mRNA発現を定量解析し、老齢マウスと若齢マウスとで統計学的に比較検討するためRNAサンプルの凍結保存を行っている。 また、若齢マウスと老齢マウスにおいて、生理的状態の頭蓋骨を採取し、網羅的遺伝子解析を行った。現在、老齢マウスにおいて発現が上昇する遺伝子について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若齢マウス、老齢マウスともに骨欠損の作製及び各タイムポイントでのサンプリングおよびマイクロCT撮影は終了した。現在、マイクロCT撮影が終わった試料の組織学的解析(脱灰・パラフィン包埋・薄切切片作製)を進めている。網羅的遺伝子解析についても概ね順調に進んでおり、発現変動解析を行っているところである。 また、骨修復過程におけるmRNA発現を定量解析し、統計学的に比較検討するために、Real-time PCR法に用いる試料の採取を行い凍結保存を行っている。 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、研究の中断を余儀なくされたため、当該年度に予定していたリアルタイムPCR法によるmRNAの定量解析には遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
パラフィン包埋後の試料について薄切切片を作製し、網羅的遺伝子解析により同定された老齢マウスの骨欠損修復で発現の高い遺伝子について、RNAプローブを用いてin situ hybridization法による検討を行う予定である。 さらに、次年度に延期したリアルタイムPCR法による検討を行い、若齢マウスと比較して、老齢マウスの骨欠損修復において発現の高い遺伝子のmRNA発現について検討を行う。
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Causes of Carryover |
若齢マウス、老齢マウスともに骨欠損の作製、各タイムポイントでのサンプリングおよびマイクロCT撮影は終了しており、マイクロCT撮影が終わった試料の組織学的解析と網羅的遺伝子解析についても概ね順調に進んでいる。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、当該年度に予定していたリアルタイムPCR法によるmRNAの定量解析には遅れが生じており、未使用額が発生した。 次年度予定しているこれらの実験を行うための費用として次年度請求額と合わせて使用する予定である。
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