2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new muscle dysfunction evaluation system focusing on grouped discharge
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18K17120
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前田 直人 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (10708051)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 咬筋 / 表面筋電図 / 顎関節症 / 群化放電 / 疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,咬筋で記録した筋電図に見られる群化放電波形について詳細な検討を行うことであった.群化放電波形は疲労との関連が報告されているが,咬筋の群化放電に関する研究は世界的にも未だない.したがって,咬筋で記録される群化放電波形の発現特性を解析することは,筋機能異常患者の新たな診断システムの確立につながる可能性があると考えられる. 本研究結果から,群化放電波形は筋筋膜痛を有する顎関節症患者に多く認められることが分かった.筋・筋膜性疼痛は臨床上遭遇する機会が多いが,レントゲン,MRI,血液検査など一般的に行われる検査では目に見える結果として現れないため,診断,治療が困難である.さらに,頭頸部の筋に関しては十分な科学的検討がなされていない現状がある.近年,携帯型筋電計の小型化・高精度化に伴い,日中の非機能的筋活動がこれまで原因不明とされてきた種々の顎口腔系の病態に深く関わっていることが明らかになりつつある. Glarosらは,顎関節症関連の筋・筋膜性疼痛や筋緊張性頭痛についても,微弱な「咀嚼時以外の咀嚼筋活動」がその病態に深く関与していることを報告している.これらのことから,本結果は,未だ科学的データの少ない顎口腔系の種々の機能異常と咀嚼筋活動との関連を明らかにする上で重要な意義を有すると考えられる. 本研究で得られた結果をもとに筋機能異常患者の新たな診断システムを確立できれば,臨床的に大きな意義を持つと思われる.そこで,長時間におよぶ筋電図記録の中から群化放電波形を特異的に抽出する自動解析プログラムの作成を試みた.しかし,強度も周波数も異なる筋電図波形の中から群化放電波形を特異的に抽出することは非常に困難であった.今後は,群化放電波形を利用した新しい筋機能異常の診断システムの開発が期待される.
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