2019 Fiscal Year Research-status Report
定量的知覚検査は摂食・嚥下機能障害のスクリーニングテストになり得るか?
Project/Area Number |
18K17121
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 瑠美 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (80758219)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔内知覚 / 触覚検査 / 2点識別覚検査 / 温度覚検査 / 口腔機能検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢社会を迎えたわが国では、高齢者の摂食嚥下機能の低下による誤嚥が社会問題となっている。摂食嚥下機能の障害は、生活の質(QOL)の低下という観点からも、近年本障害に関する研究が幅広く展開されている。しかし,その多くが,摂食・嚥下障害を運動機能低下の観点から検討したものであり、感覚機能の観点から検討したものはほとんどみられない。そこで本研究では、口腔内知覚閾値の基準値を定め、定量的知覚検査を口腔器質評価の一つとして位置付けることを目的とする。また、口腔内の知覚と摂食・嚥下機能の関連性を明らかにし、摂食・嚥下障害スクリーニングとして定量的知覚検査を用いるための科学的根拠を得ることを目的とする。前年度から、神経の走行、摂食時の食塊の形成について考慮し、口腔内の測定部位を決定し、知覚検査を実施している。 また、従来のディスクリミネーターでは、口蓋・歯肉等検査が困難であるため、小型化したディスクリミネーターを試作し、口腔内2点識別覚測定を実施している。新たな温覚測定器の測定部の形態修正なども行い、簡易に測定できるように改良を進めている。 口腔内知覚の基礎データとして、20代~90代の各年代の知覚閾値の標準値を明らかにするために、触覚検査・2点識別覚検査・温度覚検査を実施しており、現在の測定の結果で加齢に伴う変化が確認されている。高齢者に対しては、嚥下機能のスクリーニングとなる口腔機能検査を行い、知覚検査結果との関連を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった、口腔内測定部位はほぼ確定し、器具の準備も行った。 測定方法の統一もできている。 20代から90代までの健常者の口腔内知覚の検査を実施中である。また、高齢者の口腔機能評価も同時に実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔内知覚の基礎データ収集を続け、そのデータと摂食嚥下機能との関連を検討する。摂食嚥下機能の評価にはスクリーニング、質問紙調査だけでなく嚥下内視鏡検査を実施する。また、全身疾患・服薬等・SDSうつ性自己評価尺度・NMスケールなどの結果と口腔内知覚の評価の関連性を検討する。 ある程度の基準データがそろった後は、脳血管障害患者への定量的知覚検査を実施し、経口摂取につながるような検討を実施する。
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Causes of Carryover |
口腔内知覚のデータ測定人数が予定より少なかったため、次年度使用額が生じた。 来年度は口腔知覚検査のデータ測定のための旅費および、検査の消耗品に使用する。
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