2018 Fiscal Year Research-status Report
ジルコニアのフッ化物腐食評価:バイオフィルム存在下におけるモデル系の構築
Project/Area Number |
18K17134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福島 梓 東北大学, 歯学研究科, 助教 (50733565)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フッ化物 / ジルコニア / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、歯科臨床においてジルコニアが多用されている。しかし、ジルコニウムの酸化物である酸化ジルコニウムを主成分とするジルコニアは、う蝕予防剤として広く用いられているフッ化物によって、フッ化ジルコニウムとして溶出し、腐食される。その結果生じると想定される構造欠陥はジルコニア特有のマイクロクラックを起点とする破折の原因となる可能性が懸念される。しかし、ジルコニアのフッ化物腐食についてはフッ化物の酸産生抑制作用や、唾液によるフッ化物の希釈作用、バイオフィルムへのフッ化物の取り込み濃度等、実際の口腔内環境を考慮した十分な検討は行われていない。 本研究では、代表者がこれまでに確立した、バイオフィルムモデル装置を応用し、ジルコニア表面に人工バイオフィルムを形成し、フッ化物存在下における代謝活性をモニタリングするとともに、腐食評価を行い、ジルコニアにおけるフッ化物使用の臨床指針の提言を目指す。 今年度はバイオフィルムの作成と代謝活性評価を行うとともに、ジルコニアサンプルの作成を行った。 引き続き、ジルコニア表面の電気化学的変化および溶出量、結晶構造分析、化学組成分析等の分析を検討し、フッ化物の影響の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バイオフィルムの形成および、バイオフィルムの代謝活性評価については確立・実施しているが、ジルコニア表面分析および溶出量、結晶構造分析、化学組成変化分析については未実施のため、当初の研究計画よりはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ジルコニア表面の電気化学的変化の測定に加えて、色差および光沢度変化を分光測色計にて測定するとともに、ジルコニア溶出量、電子顕微鏡によるジルコニア表面の構造変化分析、X線回折法による結晶構造変化および化学組成変化分析を行う。 また、安定化剤がマトリックスより溶出することで結晶構造が不安定化され相転移が生じる結果、腐食が進むと考えられることから、サンプルに含まれるイットリウム・セリウム・アルミニウム溶出量の測定も併せて行い、安定化剤の違いによる腐食機序を比較検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)表面分析や溶出量分析等が未実施のため、分析費用としての次年度使用額が生じた。また、国際学会へ複数発表予定だったが、国際学会1件、国内学会2件のみに使用したため、外国旅費分としての次年度使用額が生じた。 (使用計画)ジルコニアサンプルの追加作成料および分析時の装置使用料として使用する予定である。また、国際学会において旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)