2018 Fiscal Year Research-status Report
CAD/CAM冠接着技法の確立~臨床環境における接着阻害因子の影響とその解決法~
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18K17144
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 早希 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10804487)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 接着阻害因子 / 仮着材除去法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト大臼歯象牙質平滑面に,アクリルレジンを用いて作製した板状レジンをカルボキシレート系仮着剤にて仮着して, 1週間37°Cの蒸留水中に保存した.レジン板を除去後、①エアスケーラー(Sc群),②回転ブラシ(Br群),③エアスケーラー+リン酸エッチング+次亜塩素酸ナトリウムゲル処理(Nc群)により仮着材を除去し,SEM観察,EDS分析および接触角の測定を行った.また耐水ペーパーにて象牙質研磨だけを行った群(仮着材の汚染のない群)を④コントロール(Co群)として同様の測定を行った.さらにCAD/CAM冠用レジンブロックの被着面をアルミナブラスト処理とシラン処理後、作製した象牙質被着面に,セルフアドヒーシブ型接着性レジンセメントあるいはプライマー併用型接着性レジンセメントを用いて接着し、微小引張接着試験を行った. <SEM観察>Co群,Sc群,Br群では表面にスミヤー層が観察された.Co群,Br群ではスミヤー層上に汚染は認められなかった.Sc群では直径約10μm程度の仮着材が被着面全体に残存していた.NC群では仮着材の直下にあるスミヤー層まで除去され,象牙細管が開口していた. <EDS分析>Sc群ではSEMで確認された仮着材成分の残存と同部位にZnが検出された.Br群においてはSEM像からは仮着材成分の残存を認めなかったが,全体に仮着材成分の残存を示すZnが認められた.Co群、NC群ではZnは検出されなかった. <接触角>仮着材成分の残存を認めたSc群とBr群は,Co群と比較して接触角が有意に大きかった.NC群・Co群間に有意な差は認めなかった. <接着試験>どちらのセメントにおいてもCo群はSc群,Br群と比較し有意に高い接着強さを示した一方,NC群の接着強さはCo群と有意な差はなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は①仮着材除去後のの残存状態の被着面形態の観察・②1ステップセルフエッチングシステムのセメントを用いての接着強さの測定を予定していた.上記のとおり,接着試験,被着面のSEM観察,EDS分析および接触角測定はすべて予定通り行われており、本年9月に学会発表する.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,2019年度は 1)長期経過試料(6か月後および12か月後)の接着試験:2018年度に作製し,保存している接着試験用試料を6か月後および12か月後の接着試験に用いる.接着試験後,各群代表的な試験体をSEMにて破断面観察する. 2)接着界面微小構造観察:接着界面の微細構造をTEMを用いて観察する.通法に従い接着試験用に作製した試料の一部をエポキシ樹脂に包埋後,TEM撮影用切片を作製し、観察する. を行う予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは当初の想定より予備実験がスムーズに終わり,物品費が軽減できたためである。 次年度の実験に必要な物品購入と成果を発表するための論文作成・投稿費に使用する.
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