2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病感染症発症における口腔内細菌叢からの理解
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18K17146
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小山 絵理 岡山大学, 大学病院, 医員 (60779437)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯学 / 口腔内細菌 / 慢性腎臓病 / 感染シャント / 16sRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の慢性腎臓病 (CKD)患者は年々増加し,その死亡率の高さや透析による医療費の高騰が社会問題になっている.そして,透析患者の主要な死亡原因(第2位)が感染症であり,その一端として透析患者の血管確保のために設けられるシャント感染の合併症が挙げられている.申請者はこれまでに,口腔内の悪環境が透析シャントの感染の原因と推測し研究を進め,口腔内細菌叢と感染シャント細菌叢が類似すること,口腔内特異的な細菌叢が感染シャント部に存在することを明らかにしてきた. そこで,本申請研究ではこれまでの研究成果を基盤に,シャント感染の起因菌を同定し,口腔内細菌のシャント感染経路を明らかにすると共に,透析患者の栄養状態と密接に関連する咀嚼機能や,遠隔感染源としての歯周疾患等の口腔内環境が,本疾患の病態悪化や感染症発症とどのように関連するかを明らかにすることを目的としている.2018年度は,新たな感染者のサンプリングを行うために倫理関係の準備を進めてきた.また,これまで解析を行った患者の残存歯,歯周状態等の口腔内状態と感染状況,感染シャントの細菌叢の関係を明らかにするため,患者データをまとめ,クラスター解析を行った.そして,口腔内環境の悪化と関連がありそうな細菌叢をいくつか抽出した.2019年度は抽出された細菌叢の詳細を検証すると共に,新たな感染者のサンプリングを行い,感染経路の同定も含め解析を進める予定である. 本研究の発展は,CKD患者や透析患者における歯科治療の重要性を提唱し,彼らの生命予後やQOLの改善に強く貢献できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプリングにも問題なく、ほぼ順調に研究は進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究を継続して行い,透析患者の栄養状態と密接に関連する咀嚼機能や,遠隔感染源としての歯周疾患等の口腔内環境が,本疾患の病態悪化や感染症発症とどのように関連するかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
サンプル回収後のデータ解析を外部発注で行っているため,解析が遅れたためと思われる.また今後は回収後速やかに解析を依頼するように努める.
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