2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of mechanical stimulation on bone qualtiy around implant based on coupling factors
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18K17151
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
右藤 友督 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10816680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インプラント / 荷重 / 骨質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、9週齢ラットの上顎骨に埋入されたチタン製インプラントに規則的な繰り返し荷重を付与することで、インプラント周囲の骨質をはじめとした力学的機能の変化を分子生物学的に解明しようとするものである。 令和元年度までにラット上顎骨インプラント荷重モデルを2種製作し(5週間荷重モデル、2週間荷重モデル)、それぞれ骨密度と骨質関連タンパクの定量解析、荷重関連遺伝子の発現量解析を行った。令和2年度には、骨質関連分子の発現について、2週間荷重の効果と5週間荷重の効果を比較する解析を行った。インプラント周囲骨組織では荷重によるRunx2陽性骨芽細胞数の増加が認められることは既に前年の研究で明らかにしていたが、荷重効果の比較では2週間荷重と5週間荷重に有意差は無く、恒常的な荷重環境は骨芽細胞を増加状態に保つことが考えられた。一方、破骨細胞の増加効果は2週間荷重で顕著であり、ラットにおける荷重応答性の骨質改変は、荷重開始から2週間では活性化状態にあることが明らかとなった。また、マイクロアレイ解析の結果から荷重応答性が考えられた遺伝子をピックアップし、Wnt系骨形成関連遺伝子のFz2やLRP6のqPCRによる遺伝子発現解析を行った。更に、免疫組織化学的解析ではインプラント周囲骨組織におけるCTHRC1やephrinB2の発現上昇傾向が確認され、現在更に詳細な解析を行っている。 顎骨におけるインプラント周囲骨の荷重応答反応は現在でも不明な点が多く、本研究の結果はインプラント治療の長期安定性を確立するうえで重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度にマイクロアレイ解析を行ってピックアップした遺伝子とタンパクについて、組織染色とqPCRの追加解析を行い、インプラントを介した荷重の感知から骨組織の改変に至る分子生物学的な経路の検索を行っている。骨組織におけるメカニカルストレスに反応性を示す遺伝子やタンパクの研究は主に形成外科の分野で進められており、学会参加にて情報収集を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で学会の規模が縮小しており例年と同等の情報収集は行えなかったが、オンライン大会等で新たな解析目標の情報を得ることができた。 追加解析を完遂することと、本研究の結果をまとめ、学会発表や論文化のため、研究期間の1年間延長を申請した。 以上より、本研究はここまでおおむね順調に進展しているが、更に詳細な学術的知見を得るため、ならびに論文化のため令和3年度に引き継ぐこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
既に作成済みの2週間荷重群と5週間荷重群の組織切片と、荷重30分後骨組織より作成したDNA試料を用いて、追加解析を行う。遺伝子発現解析では、Wnt関連遺伝子としてWnt3a、Wnt10b、Wnt4、Wnt5a、Ryk、LRP6などのqPCR解析を行っている。タンパク質発現解析については、ephrinB2、Sp7、CTHRC1、DMP1、Cathepsin-Kの特異抗体を用いた免疫染色を予定している。また、インプラント周囲骨組織の骨質改変にはコラーゲン線維の配向と分布が関与していることが令和2年度までの研究で明らかになったことから、変性コラーゲン線維を特異的に可視化するプローブを用いて、コラーゲン線維の荷重による変化を明らかにする。 これらの解析結果を統合し、令和3年度中に論文化を行う。また学会発表にて公表も予定している。
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Causes of Carryover |
研究はおおむね順調に進んでいるが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により情報収集や解析のための県外移動、また国内外の学会へ現地参加が出来なかったことで解析費用と旅費の使用が減少した。令和2年度中に追加解析の対象となる遺伝子やタンパクの選別を行ったが、PCRプライマーや抗体の購入は一部に留まっており、追加購入の費用として令和3年度に使用する。論文化に於いて追加実験が必要になった場合は新たに動物の購入にも使用する。
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