2018 Fiscal Year Research-status Report
軟骨変性疾患のVivoでのNADPHオキシダーゼに依存したヒアルロン酸分解の解明
Project/Area Number |
18K17155
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 咲映 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (20783252)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 軟骨細胞 / 細胞死 / NADPHオキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ、変形性関節症や顎関節症は、代表的な軟骨変性疾患である。我々は、これらの疾患で産生が高まる炎症性サイトカインの一つであるインターロイキン-1βの軟骨細胞への直接的な作用を研究してきた。ひとつはインターロイキン-1βによる細胞死の誘導であり、もうひとつは細胞外マトリクスの合成低下ならびに分解の促進である。これらの中で、インターロイキン-1βによる軟骨細胞の細胞死誘導と細胞外マトリクスの分解促進に、食細胞型NADPHオキシダーゼ由来の活性酸素種の関与を明らかにしている。 これまでの我々は、好気的な条件下で上記の研究を行ってきたが、関節軟骨を含め、軟骨組織は嫌気的な条件下に存在する。そこで本年度は、好気的条件下および嫌気的条件下に培養したマウス軟骨細胞様ATDC5細胞をインターロイキン-1βで刺激し、細胞死を観察した。その結果、好気的条件下のATDC5細胞に比べ、嫌気的条件下で培養したATDC5細胞では細胞死が起こりにくいことが分かった。我々は、インタロイキン-1β刺激後数時間以内に発現が始まる誘導型一酸化窒素合成酵素および36から48時間に発現する食細胞型NADPHオキシダーゼの両者が必要であることを報告している。そこで、好気的条件下および嫌気的条件下にATDC5細胞をインターロイキン-1βで刺激し、両酵素遺伝子の発現を調べた。インターロイキン-1β刺激24時間後の誘導型一酸化窒素合成酵素mRNAの発現は、好気的条件下、嫌気的条件下で大きな違いが見られなかったが、食細胞型NADPHオキシダーゼmRNAの発現は嫌気的条件下で抑制されていた。食細胞型NADPHオキシダーゼの発現には酸素呼吸が重要な役割を果たしていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関節軟骨の表層と深層の酸素分圧の違いによる軟骨変性について酸素分圧による軟骨細胞における食細胞型NAPPHオキシダーゼの発現の違いの重要性が示唆される結果を得ている。これはこれまでに報告されていない新しい概念である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初、軟骨の細胞外マトリクスの分解についても解析を進める予定であったが、軟骨細胞の細胞死が酸素分圧の影響を受けるという興味深い知見が得られたので、その機序について解析したいと考えてる。
|