2018 Fiscal Year Research-status Report
骨吸収抑制剤が骨リモデリングに与える影響の2光子顕微鏡を用いた解析
Project/Area Number |
18K17163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松山 真理子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (90738725)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨リモデリング / イメージング / 骨粗鬆症治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑色蛍光蛋白質を全身に発現するEGFPマウスより採取した骨芽細胞を骨芽細胞分化培地で4~6週間培養した。次に破骨細胞でCreを発現するRANK-Creマウスと、Cre依存性に赤色蛍光蛋白質tdTomatoを発現するROSA-LSL-tdTomatoマウスを掛け合わせたマウスから骨髄細胞を採取し、分化培養した骨芽細胞と共存培養した。共存培養を3週間行い(吸収期)、その後再び骨芽細胞分化培地でさらに3週間培養した(再充填期)。吸収期、再充填期を通じてカテプシン阻害剤E64あるいはビスフォスフォネートZoledronate(ZOL)を添加、あるいは無添加の群を設定した。この間、2光子顕微鏡を用いて毎週観察を行った。 結果として、E64添加群では破骨細胞が基質表面に広がっているものの、基質吸収窩の形成が抑制されていた。また再充填期には吸収窩以外の部位でも基質の増加がみられた。一方、ZOL添加群では基質の吸収および再充填が抑制されていた。基質量を画像解析ソフトIMARISにより定量化したところ、E64添加群では吸収が抑制されたが、引き続く増加は抑制されなかった。 さらに、E64添加群と無添加群の培養上清について、ELISAにより骨吸収マーカーCTXと骨形成マーカーPINP、Gla-Osteocalcinを定量化した。無添加群では共存培養開始後CTXが上昇したが、E64添加群では見られなかった。PINPは両群ともに共存培養開始後低下し、その後は低値のままであった。一方、Gla-Osteocalcinは両群とも共存培養開始後の低下と、再充填期の上昇が見られた。 加えて、CreリコンビナーゼのノックインによりカテプシンKが発現しないCtsk-Creホモマウスと、その野生型同腹個体から骨髄細胞を採取、培養し、レトロウイルスを用いてtdTomatoで標識した細胞のストックを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度に施行予定であった異なる骨吸収阻害薬の効果について前倒しで検討し、基質量の変化に与える影響を定量化することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度のE64およびZoledronateを用いた実験をさらに行うとともに、イメージングで得られる位置情報を加味した定量方法の検討を行う。具体的な案としては、画像を複数の領域に分割し、それぞれの領域における基質の増減を定量化することで、基質の吸収と再充填のカップリングについて検討を行う。 また、平成30年度に作製したカテプシン欠損骨髄細胞を用いた検討や、プロトンポンプインヒビターの影響についても検討する。
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Causes of Carryover |
骨吸収阻害薬の効果の違いを示す実験が当初の想定より順調に進行したため。 次年度使用額については動物の維持、細胞培養、ELISAキットの購入などに使用する予定。
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