2018 Fiscal Year Research-status Report
休眠状態にある骨髄播種癌細胞の包括的理解による転移・再発メカニズムの解明と制御
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18K17172
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 拓哉 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (80761212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 微小残存腫瘍 / 骨髄環境 / 抗癌剤耐性 / 細胞周期停止 / 休眠状態 / Src活性 / クローナリティー / バーコード配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄環境が、癌の再発転移に大きく関連する癌の休眠状態や治療耐性(抗癌剤耐性、放射線治療耐性)に大きく関わっていることを解明するために、骨髄嗜好株であるBM-DTC株(BM-HEp3)及び肺嗜好株であるLu-DTC株(Lu-HEp3)、原発巣由来株であるP-HEp3を作製し、それらを用いて解析を行った。マイクロアレイ解析を行った結果、BM-HEp3 においては、他の2株と大きく異なる発現プロファイルを示すことを見出した。その中で、BM-DTCs の発現プロファイルは、乳がんのエストロゲン陽性タイプや乳がんの骨再発巣と非常に似た発現プロファイルを示したため、エストロゲンレセプター阻害剤を用いることによって、BM-DTCs の静止期維持や抗癌剤耐性といった性質への関与を検討したが、有意な結果は得られなかった。また、骨髄環境で癌細胞が生存するためには、高Src活性を有することが重要であることが報告されているが、3株の高Src活性を調べたところ、BM-HEp3においてのみSrc活性が亢進していた。またSrc阻害剤であるダサチニブを用いたところBM-HEp3においてのみ細胞生存能が著しく低下した。これらの結果からBM-HEp3は骨髄環境に適したSrc活性が亢進した細胞集団が選別されている可能性が示唆された。 次に、BM-DTC内のクローンの隔たりの有無を検討した。各細胞株をDNAバーコードライブラリーで標識して、マウスに移植したあとに、各臓器からDNAを抽出し、次世代シークエンサーにてバーコード配列の内訳の解析を行った。結果として現在のところ、休眠BM-DTCでは移植巣とは異なるクローンが優位であるという結果を得ている。これらのクローンが骨髄での長期生存に適したクローンである可能性を考えている。 各細胞株に放射線を照射し、放射線耐性の違いを検討したが、現在のところ有意な差は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HEp3細胞株以外の口腔扁平上皮癌株での骨髄転移株作製を試みているが、骨髄へのがん細胞の生着が認められず難渋している。 CTC(Circulated tumor cell)の解析によるBM-DTCとの共通点の検討については、現在テロメスキャンという方法での分離を検討しており、現在詳細を検討中である。 放射線治療耐性実験では現在行っている放射線照射実験では有意な結果は得られなかったため、照射方法、照射量などの実験系を再検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析で得られたBM-HEp3特有の因子をさらに検討し、BM-DTCの特性である細胞増殖抑制、抗癌剤耐性に関連しているかどうか検討を行う。 直接骨髄内に BM-HEp3を移植し、そこから肺に転移を成立させるのかどうかをP-HEp3と比較し検討する。マウス大腿骨内に直接HEp3細胞の移植を行い、数週間後に肺に転移した細胞の数、または骨髄に生着している細胞の数を検討する。 熊本大学歯科口腔外科学で治療を行ったOSCC患者の血液サンプルを用い、血中CTCの分離を行う。そのCTCを培養し、患者サンプルから分離したCTCも増殖抑制状態、抗癌剤耐性を示すかどうか検討を行う。 クローナリティの解析によって、BM-DTCは移植巣とは異なるクローンが優位であるという結果が得られたが、大部分は移植巣から供給された腫瘍細胞によって似たクローナリティを示した。今後は移植腫瘍を早期に切除した後に、今回と同様にクローンバランスを評価し、移植巣からの腫瘍供給が無くなった場合に、より特徴的なクローナリティを示すのか検討する。 BM-HEp3、Lu-HEp3、P-HEp3を用いて放射線治療に対する耐性の違いを検討する。各株の放射線耐性に差があれば耐性に関わる因子を探索する。続いて各細胞株を移植したマウス移植モデルに対して放射線照射を行い治療実験を行う。
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Causes of Carryover |
実験計画が、in vivo 実験まで進んでおらず、マウス購入費や試薬代などin vivo 実験に必要な費用に使用しなかったことが理由としてあげられる。また、論文校正費なども今年度は使用しなかった。次年度は、in vivo の実験を進めることや、テロメスキャンを用いたCTC(Circulated tumor cell)の分離などに経費が必要である。また、成果発表のための学会参加費、論文校正費が必要な経費となってくると思われる。
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Research Products
(3 results)