2018 Fiscal Year Research-status Report
VEGF-Cによるリンパ管新生効果は,骨再生・修復促進に関与しうるか?
Project/Area Number |
18K17173
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
柚木 寿理 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (80815621)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リンパ管 / VEGF-C / 骨再生 / リンパ管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は骨再生過程におけるリンパ管の役割の解明と,リンパ管新生誘導による骨再生効果に与える影響を解明し,顎骨欠損 に対する新たな治療戦略に必要な知見を得ることを目的とし実験を行っている. 本研究を遂行するため,C57BL6/Jマウス頭蓋骨に骨欠損領域を形成し,リンパ管新生因子であるVEGF-C添加/非添加のscaffoldを移植することによって欠損修復を施し,その後の骨再生とリンパ管新生との関連性について分析を進めている. まず,事前の検討により,MSCと骨補填材を混和した移植体をマウス頭頂骨部に移植することにより,骨増生部位には血管のみならずリンパ管も形成されていることを明らかにした.そこで,骨再生過程におけるリンパ管の役割を解明するために,8週齢のC57BL6/Jマウスの頭蓋骨へトレフィンバーにて直径4mm(クリティカルディフェクト)の骨欠損モデルを作製し,VEGF-Cをゼラチンハイドロゲルに含有させ欠損部に移植した.①sham群,②欠損のみ群,③欠損+PBS含有ゼラチン群,④欠損+VEGF-C含有ゼラチン群の各種対照群を準備し,移植後6週目と8週目にマウスを屠殺して骨形成能およびリンパ新生能について評価を行った.評価はμCTによる骨再生量の定量,組織学的評価(HE染色),リンパ管形成についてはLYVE-1抗体を用いた免疫組織学的観察を行った.しかし,この動物実験モデルの条件では明らかな骨再生能はみとめられなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
なかなか安定した動物実験モデルが確立できない.VEGF-Cに,リンパ管新生能だけではなく,骨再生能があることは以前vitroにて証明したが,今回,vivoにてVEGF-Cを使用し骨再生を試みるも,それが叶わない状況である. まだ安定して使用できるscaffolodも定められていないので,骨ができていないのがVEGF-Cの骨再生能が低いということなのか,移植条件の問題なのかが判然としていない.
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Strategy for Future Research Activity |
まだ現段階で動物実験モデルが確立できていないため,VEGF-Cの効果を正確に検証することができていない.また,VEGF-Cをvivoにて使用するにはいささか骨形成能が低すぎる可能性があるため,まずはVEGF-Cから一旦離れて,確実に欠損部に骨形成を促す試薬(BMPなど)を用いる.そこで骨が形成されていれば,LYVE-1抗体を用いた免疫染色にてリンパ管を染色し,一視野あたりの数や密度をコントロールと比較する. また,リンパ管新生阻害による骨再生の影響を比較するために,scaffoldにリンパ管新生阻害剤(VEGFR3阻害剤)を含有させ,同様にマウス頭蓋骨欠損モデルを作製し,μCT撮影,H-E染色による組織学的評価,免疫染色によって評価を行う.
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Causes of Carryover |
昨年度は余計な支出を避けるために,なるべく低コストで実験を行い,ラボに元々あるものは使用した.しかしなかなか臨床をしながら全ての実験を行うのは不可能ということと,精度の問題を考慮し,2019年度は,骨の分析等は外注に出す予定である.そのコストを考慮すると,繰越分と合わせて相当分の金額が必要である.
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