2020 Fiscal Year Research-status Report
ラマン分光法を用いた破骨細胞の分化・生理機能解析と顎骨壊死の病態解明への応用
Project/Area Number |
18K17175
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
Marin Elia 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (10814014)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラマン |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの流行と、それによる研究施設利用の制限によって、2020年度は、予定よりも実験の進行は遅れた。さらに、緊急事態宣言発令により、予定していた実験は、2度中断され、機器や施設の使用、得にバイオ実験を行う実験室や蛍光顕微鏡を使用できる時間が大幅に短縮された。in situラマン分光法を用いて2つの異なる基板(象牙質およびハイドロキシアパタイト)に、破骨細胞が及ぼす影響を調べるin vitro実験は行うことはできたが、分析できた試料数は信頼できる統計を得るには不十分で、特に培養時間の長いものではそれが顕著であった。取得したラマンデータは、この分光法が、骨や細胞の存在、基板上での活性を評価するのに、非常に優れた手法であることを示している。具体的には、この分光法によって破骨細胞の分布や、骨組織の量や質といった情報を検出できる。ラマン分光法では、2つの基板(象牙質とアパタイト)の違いを正確に視覚化することができ、結果から、破骨細胞が基質に応じて異なる挙動を示していたことがわかった。破骨細胞は骨組織の石灰化組織を減少させるが、象牙質と比較した場合、2つの組織の組成の違いにより、アパタイトでは、この現象が、象牙質よりもゆっくり進行する。2019年と2020年に行った実験で用いた培地で利用できた細胞の数に限りがあったため、薬によって引き起こされる影響を検出することは困難であり、各試験条件に対してより多くの試料が必要であった。これまでの結果から、ラマンイメージングから形状の情報と化学的情報の両方を正確に表示できることが示されているが、従来のラマン分光法と比べて、測定により長い時間を要するようになっている。そして、新型コロナウイルス感染症の流行によって、科学論文の執筆のための実験は完了できず、同様の理由で、2020年度に予定されていた国際会議の発表は、2021年に延期された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の発生、特にそれによる活動時間と人員の制限によって、京都府立医科大学でのin vitro実験が中断・延期になり、本プロジェクト3年目の活動は次年度へ繰り越された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、残された必要な実験をすべて完了し、得られた結果をもとに2稿の論文を執筆し、そのうえ可能であれば、学会発表も予定している。
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Causes of Carryover |
日本国内における新型コロナウイルス感染症の流行及び、それに伴う緊急事態宣言の発表により、予定していた研究施設や実験設備、機器などの使用制限が設けられ、予定していた実験・解析に大幅な遅れが生じたためである。2021年度の予算に関して、我々は、新しい破骨細胞培養キット、培養液、蛍光顕微鏡観察キットの購入に使用する。さらに、2稿の論文をOpen Accessでの発表を予定しており、予算の一部は、それにかかる費用に利用する。また、新型コロナウイルス感染症の状況にもよるが、2020年度に予定していたように、国際学会の出席の予算としても利用する予定である。学会が行われないようであれば、その予算は、光学顕微鏡のレンズやフィルターの購入に利用する。
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