2019 Fiscal Year Research-status Report
顎矯正手術後の骨代謝亢進機構の解明と新しい治療体系への応用
Project/Area Number |
18K17189
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 陽子 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (90431593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顎矯正手術 / 骨代謝活性 / オステオカルシン陽性細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術侵襲や骨折後の骨治癒過程において、局所的に代謝活性が亢進するRegional acceleratory phenomenon(RAP)と全身的に活性が亢進するSystemic acceleratory phenomenon(SAP)が知られている。また、ヒト末梢血中に存在するCirculating osteoblast-lineage cells (Circulating osteogenic progenitor cells: COP細胞)はosteocalcin (OCN)陽性などの特徴を有し, 成長期と骨折時に増加し, in vivo/vitroで骨形成能を有することが報告されいるが、この細胞が顎矯正手術時の骨治癒過程に関与するかどうかについては不明である。本研究は、顎矯正手術後の血清骨代謝マーカーの変動と末梢血中のCOP細胞の発現とその特性について解析し、治癒の背景にある骨リモデリング現象の解明を臨床的・基礎的観点から明らかにすることを目的とした。 1)臨床研究 東北大学病院歯科顎口腔外科で顎矯正手術を施行する患者に説明し同意を得て28名から経時的に末梢静脈血採取を行い、骨代謝マーカー(CRP, ICTP, ALP, BAP)値とフローサイトメトリを用いてOCN陽性細胞の発現について測定を行い、その変動について解析した。まず術直後にCRPが上昇し、その後骨吸収マーカーICTPが上昇し、術後1か月頃にALP・BAPが上昇した。またOCN陽性細胞は術後1日から1週間で有意に増加し、徐々に減少しながら術後3か月で術前と同じレベルとなっていた。骨治癒過程の各ステップ(術後炎症、骨吸収、骨形成時期)において、全身性に骨代謝活性が亢進することが確認された。 2)基礎研究 予備実験を施行した。プロトコールについて詳細な検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究はおおむね予定通り進行している。 基礎研究のプロトコールの変更に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究については症例数をさらに増やし、血清中サイトカイン(IL-1, IL-6, IL-10,TNF-αなど)やタンパク質(SDF-1やBMP-2など)の発現について測定・解析予定である。またソーティングしたオステオカルシン陽性細胞の培養についてプロトコールを確立し、実施する。培養が可能となれば動物実験に応用することが可能となり、研究の発展が可能となる。また臨床研究の体制を多施設共同研究にすることも検討しており、そのための準備中である。 基礎研究については手術と歯の矯正力付与の装置・メカニクスの詳細なプロトコールとマイクロCT撮影のタイミングについて文献や追加予備実験などにより検討・決定し、実際にラットを用いた動物実験を開始する。
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Causes of Carryover |
国際学会の学会費を見込んでいたが、新型コロナウィルスによる影響で学会が取りやめになった。
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Research Products
(3 results)