2018 Fiscal Year Research-status Report
漢方薬"ヨクイニン"とその有用成分を応用した副作用の少ない口腔癌治療法の確立
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18K17196
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉田 寿人 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (40791794)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 漢方薬 / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、化学療法に漢方薬を併用すると抗腫瘍効果が高まり、副作用が減少するという報告が散見される。ハトムギ(Coix Lachryma-Jobi var. ma-yuen)は、漢方薬として中国や日本で古くから利用されてきた。近年、ハトムギの抗腫瘍効果・抗腫瘍免疫が注目され、中国ではこれを含んだ抗癌剤注射薬も開発され、ハトムギの抽出エキスであるヨクイニンにも抗腫瘍効果があることが示されている。 ヨクイニンの有用成分の一つであるTrilinoreinは、lipopolysaccharide(LPS)によるcyclooxygenase-2 (COX-2)の発現を抑制し、細胞増殖活性を低下させるという報告がある。そこで2018年度は、口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3)におけるLPSとCOX-2との関連について予備的な検討を行った。まず、HSC-3細胞株にLPSやCOX-2 inhibitor(セレコキシブ)を作用させ、細胞増殖活性を測定した。HSC-3細胞株にLPS処理を行ったところ細胞増殖活性は増加し、セレコキシブを作用させることで細胞増殖活性は抑制された。次に、口腔扁平上皮癌背部皮下移植マウスモデルを作製し、セレコキシブの経口摂取による抗腫瘍効果について検討した。セレコキシブの経口摂取により腫瘍体積は減少し、TUNEL染色によりアポトーシスの誘導が確認できた。また、セレコキシブの経口摂取群ではサイクリン依存性キナーゼ阻害因子であるp21の発現量が増加した。これらの結果により、口腔扁平上皮癌におけるLPSとCOX-2との関連が明らかになった。 次年度以降は、ヨクイニンとその有用成分であるTrilinoreinの抗腫瘍効果、それらの作用によるCOX-2や癌関連遺伝子との関連について検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は予備的な検討として、口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3)におけるLPSとCOX-2との関連についての実験を行った。口腔扁平上皮癌におけるLPSの影響、COX-2 inhibitorの抗腫瘍効果について一定の成果は得られた。しかしながら、予備実験を行なった関係で、ヨクイニンやその有用成分の抗腫瘍効果について検討することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨクイニンやその有用成分の抗腫瘍効果についてin vitro、in vivoで実験を行っていく。その際、腫瘍微小環境への影響も調べるために、マウス扁平上皮癌細胞株を用いた実験も検討していく。
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Causes of Carryover |
今年度は口腔扁平上皮癌におけるLPSとCOX-2との関連についての実験的検討を行ったため、ヨクイニンやその有用成分の抗腫瘍効果、その作用機序に関する検討を行うための実験費は使用しなかった。繰越し分は、次年度に行う予定のreal-time PCRやウエスタンブロット法の試薬購入、ヌードマウス購入に使用する。
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Research Products
(2 results)