2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌のΔNp63βを介したEMTにおけるmiR-205の役割について
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18K17200
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋口 有真 九州大学, 大学病院, 医員 (80805268)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ΔNp63 / miR-205 / ZEB1 / ZEB2 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の浸潤・転移には、上皮-間葉転換(EMT)が関与していることが明らかとなってきた。これまでにわれわれは、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞において、p53のホモログであるΔNp63のスプライシングバリアントであるΔNp63βが、EMTの誘導に関与していることを示し誌上報告を行っている。しかし、その詳細な分子機構は未だ不明であったが、その分子メカニズムの検索過程においてmiRNAが重要な役割を担うことを導き、OSCC細胞株において、ΔNp63を発現していない高転移株SQUU-B細胞に対して、ΔNp63βベクターを導入した強制発現株SQUU-BO細胞と、コントロールとして空ベクターを導入したSQUU-BC細胞の2つを用いてmiRNAマイクロアレイ解析を行い、ΔNp63を強制発現させた際に最も発現に変動を認めたmiR-205について着目した。miR-205がΔNp63βを介したEMTにどのように関与するのかOSCCにおける発現と機能を検討し、miR-205がZEB1およびZEB2の発現を直接的に調節することで、OSCC細胞の遊走能・浸潤能に影響を与えていることを明らかにした。 さらに、ZEB1・2以外の標的遺伝子が関与したΔNp63βを介したEMTについても解析していくために、miR-205の相同する塩基配列からTargetScan(version7.2)というツールを用いることで、594の遺伝子を候補として挙げた。これまでにわれわれは、SQUU-BO細胞・SQUU-BC細胞の2つを用いたDNAマイクロアレイ解析も行っており、ΔNp63βの強制発現に伴って変動した遺伝子の中で、さきほどのmiR-205の標的となる候補遺伝子と合致するものをピックアップした。その結果、ZEB1・2以外にも、BMPERなど26の遺伝子がそれに該当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ΔNp63βを介したEMTに関与するmiRNAとしてmiR-205を同定し、OSCCにおける発現と機能を検索し得た結果についてはJ Cell Physiol誌にTumor-suppressive roles of ΔNp63β-miR-205 axis in epithelial-mesenchymal transition of oral squamous cell carcinoma via targeting ZEB1 and ZEB2.として掲載された(2018 Oct;233(10):6565-6577. doi: 10.1002/jcp.26267. Epub 2018 May 10. )。現在はそれに続く研究を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、ΔNp63βを介したEMTに関連するmiR-205の標的遺伝子として、ZEB1およびZEB2以外にも重要な鍵となりそうな遺伝子をピックアップしたため、その発現解析等を進めていく予定としている。
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Causes of Carryover |
当初計画していた国内外の学会への参加ができず、旅費に充てる使用額が当初の予定よりも少なくなっている。 その分を翌年度の物品購入に充てる予定としている。
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