2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K17207
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
小滝 真也 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80805490)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 下歯槽神経 / 拡散強調像 / 拡散テンソル画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の意義:下歯槽神経は、歯科臨床において最も損傷される可能性が高い神経の1つであり、下歯槽神経の走行やその状態を正確に評価することは、下歯槽神経障害の診断やその治療効果判定のために重要であり、MRIにより非侵襲的に下歯槽神経の病態および形態を評価することを目的とする。健常者の下歯槽神経の走行や状態をMRIにて評価する基礎的研究は成果をあげており、今後その手法を下歯槽神経領域に神経障害を有する患者に適応し、下歯槽神経障害を客観的・定量的に評価することを目的としている。
現在の状況:異動先施設のMRI装置上の問題によりその解決に時間がかかっている。MRI装置は1990年代に設置され、ソフトウェアアップデートに関してもやや対応が遅れている。診療放射線技師の協力のもと、実験用のファントムを作成し、拡散強調画像と拡散テンソル画像を取得しADC、Average ADC、FAを計測を終えた。しかしながら、計測された数値が頑強性や再現性の観点から不安定なため、その検証に時間をとられている。昨年度までに、ファントムを使用し現行のMRI装置で最適な脂肪抑制を評価し、その結果を歯科放射線に関する診療放射線技師連絡協議会における研究報告会で発表済みである。また、学内の倫理審査委員会の許可を得て、患者データを用いた頭頸部の脂肪抑制法の解析を開始している。現在までに患者データは20症例取得済みであるため、今後さらに今年度は20例症例を追加し、検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異動先施設のMRI上の問題の解決に時間がかかっている。理由として、1.当初は3T MRIを使用予定であったが、1.5T MRIの利用となった。2.MRI撮像パラメーターは前施設において最適化されたものであり、現在の施設において最適化するためにはファントム実験から施行することが最適と考えられた。3.当該施設において健常者のリクルートが以前の施設より困難である。以上の3点が挙げられた。
昨年度は、診療放射線技師の協力のもと、まずは倫理的な問題のないファントムを使用した実験から施行した。その際に、取得した拡散強調画像と拡散テンソル画像から得られた、ADC、Average ADC、FAが安定的ではなかったため、健常者での検査、下歯槽神経障害を有する患者へと発展させていく予定であったが、まずは脂肪抑制法に絞り当施設での最適な手法を検討することとした。昨年度および今年度は、ファントムにおける脂肪抑制法を検討し、研究発表したため、次年度は、ファントムを使用した実験から患者データを用いた検討をしていく。患者データは20症例で取得済みであり、今後20症例ほどの追加を予定している。なお、頭頸部MRI撮像時における脂肪抑制法の検討研究に関しては、学内の倫理審査員会の許可を取得済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、当施設のMRI装置では拡散テンソル画像に関しては十分な精度のデータが得られない可能性があるため、その原因の追究および、MRI装置の特性把握を行っている。またMRIの3次元撮像に関しては、許容範囲の画像が得られている。そのため、拡散テンソル画像より、MRIの3次元撮像により重点を置きつつ、下歯槽神経および顎顔面領域の撮像に関するファントム実験からボランティアを利用した実験に移行する予定である。それ以外に、頭頸部の脂肪抑制法に関して、当該MRIでは最適な脂肪抑制法とは言えず、脂肪信号の残存が多くみられたため、脂肪抑制法の検討に関しても研究を続けていく予定である。 次年度は、現在までの進捗状況で記載した通り、頭頸部MRI撮像に最適な脂肪抑制法に関して、ファントムを使用した実験から発展させ、患者データを用いた検討をしていく。患者データは20症例で取得済みであり、今後20症例ほどの追加を予定している。なお、頭頸部MRI撮像時における脂肪抑制法の検討研究に関しては、学内の倫理審査員会の許可を取得済みである。 MRIの3次元撮像に関しては、脂肪抑制法の検討から得られた、最適な脂肪抑制法を併用の上で、3次元撮像を利用し、下歯槽神経、頭頸部領域の撮像を検討していく。また同時に脂肪抑制法の検討に関してもさらなるデータ取得後に解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
MRI撮像の外注費およびボランティアへの謝礼を計上しなかったため、繰越額が発生した。また今後、新型コロナウイルス発生に伴い出張の自粛や国内・国際学会の延期、中止に伴い旅費が使用困難な可能性がある。その場合は、出張費を論文作成時の英文校正料、投稿費等に変更し使用する計画である。
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