2020 Fiscal Year Research-status Report
骨折治癒過程での転写因子Runx2獲得による細胞運命決定機構の解明
Project/Area Number |
18K17217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田澤 美樹 (柏木美樹) 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (70803360)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Runx2 / 骨折 / シングルセル解析 / ヘッジホッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期骨発生において、転写因子Runt-related transcription factor 2 (Runx2)とHedgehog(Hh)シグナルは必須であるが、 骨折治癒過程における寄与・作用メカニズムは十分に明らかになっていない。本研究では、マウス骨折モデルを利用して、Runx2獲得の意義とRunx2獲得におけるHhシグナルの関与に焦点を絞り、骨折治癒調節機構を細胞レベル・分子レベルで解明する。 まず、予備実験として、Gli1CreERT2マウスから採取したprimary cellを回収し、コントロール群とヘッジホッグシグナル活性化因子のSAGを投与した群で、CreおよびGli1の発現を確認した。WTマウスとGli1CreERT2マウスで実験を行ったところ、両マウスにおいてSAG投与群でGli1の発現上昇が認められた。CreERT2マウスを用いて、ヘッジホッグシグナルに反応する細胞の追跡ができることを確認した。また、WTマウスとRunx2+/-マウスの骨折モデルを作製し、骨折後7日において両群間の仮骨形成を比較したところ、WTマウスで仮骨の体積の増加だけでなく、骨折線周囲で硬性仮骨の体積が増加していることがマイクロCTのcolor mappingより明らかとなった。さらに、研究に関連する骨疾患の学会発表を行った。臨床的な知見も本研究に応用し、骨疾患に対する創薬や疾患治療法、骨再生療法へとつながる新たな知見を探求していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID19の感染拡大により実験環境が制限され進捗が遅れている。感染症拡大により、マウス飼育やマウスを用いた実験が遅れており、今後早急に実験計画を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
CAGCre-ERTM; Runx2+/+; R26RTomatoマウスを用いて骨折モデルを作製し、タモキシフェン投与後のRunx2陽性細胞の挙動を確認する。組織学的解析(H-E/alcian blue二重染色、Masson’s trichrome染色、免疫染色(PCNA, SOX9, RUNX2, SP7, COL1A1、TRAP染色)、放射線学的解析(マイクロCT、軟X線)、DEXA法による骨密度測定を行う。in situ hybridization法により、軟骨細胞のマスターレギュレーターであるSox9、骨芽細胞のマスターレギュレーターであるRunx2、Sp7、骨芽細胞分化マーカーであるCol1a1、Ibsp、Bglap、脂肪細胞マーカーであるPPARγ、筋細胞マーカーであるMyoD等について、遺伝子発現分布を解析する。これらの知見をもとに、骨折治癒過程におけるRunx2機能のシングルセル解析を行っていく。最終的にはヘッジホッグシグナルの関与を合わせて検証し、Hh-Runx2連関について解明していくことを目指いしている。
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Causes of Carryover |
本年度はCOVID19の感染拡大の影響により、予定通りマウスを用いた実験を進めることができなかった。そのため、次年度に研究計画を遅らせ、実験を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)